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ベトナムの軍隊銀行が国内で

比較的高い位置にあり、

近くベスト3入りすることを

目指していることなどの説明を受け、

この銀行が国民から支持されてる

ことがわかりました。

 

ですが、私には

「軍隊」と「銀行」という全く異質なものが

一体になっているネーミングの「銀行」を

受け入れることができません。

 

ずいぶん前のことになりますが、

中国で鄧小平によって改革開放政策の推進が

叫ばれた頃のこと、私は邱永漢先生について

中国の北京を訪れました。

 

そのとき大手の不動産会社の社長さんが同行していて、

邱先生がその社長さんに

「中国では軍隊も金儲けをしなければならない

ようになったんです」といって、

中国の軍隊が開発しようとしている

ゴルフ場プロジェクトの話を持ちだし

「おやりになりませんか」と話していたのが

頭に残っています。

 

そんなことから、ベトナムでも

改革開放路線導入の関係で

軍隊、つまり人民解放軍が

銀行業にも進出するようになったのか、
それにしても「軍隊」と「銀行」は異質なものだが、

と思いながら、軍隊銀行が設立される経緯について

質問しました。

 

返ってきた回答は、

たまたま軍に勤めていた人

―“銀行大学”を卒業したという経歴の人―

が、あるとき、銀行の設立を思いたち、

その人が可能性を下調べして、いけそうだとの判断を得、

銀行法の設立を待って個人の立場で、関係者に出資を仰ぎ

設立されたということでした。

 

つまり、軍隊銀行という名前ではあるけれども

軍が経営しているものではないということです。

現状、ベトナムの銀行業界では

TOP5の位置を固めるというのが

軍隊銀行MB銀行の課題ですが、

「2015年にはTop3に入る」

を目指しているとの説明を受けました。

 

この銀行の前に訪れたBVH(パオべト金融グループ)

と同じように、軍隊銀行MBでも2015年までの

事業戦略を立てています。

 

「毎年、成長率を他行よりも高く

毎年1.5倍から2倍高め、2015年に

Top3入りすること」が

2011年から2015年に向けての目標です。

 

その目標を達成するため

同行は

「顧客にとっての便利な銀行(The Transaction Bank)
を目指し、そのため次の3本柱(3pillars)を立てています。

「共同体に目を向ける銀行(The Commnity)」

 「専門性の高い銀行(The Professinal Bank)」

「取引しやすい銀行(The Transaction Bank)

 

そしてこれらの将来像を実現するため

二つの装置(2Platforms)、

「危機管理(Risk Management)」と

「速やかな実行と受渡しの文化

(Fast Execution and Delivery Culture)」

を定着させることに注力するとしています。

 

このことは、同行でいただいた分厚い業務説明書にも

しっかり書かれています。

ベトナムの軍隊銀行は現在、ベトナムの

銀行業界でどういう位置にあるのでしょうか。

 

この点につき『Top5に入っています』との

説明をいただきましたが、

いま少し詳しく知りたいところです。

 

中国やベトナムの会社を訪れると、

多くの会社で分厚い本を渡され、

軍隊銀行でも200ページほどもある

業務説明書をいただきました。

 

いまそのページを繰ると

次のような説明が出ています。

 

「ベトナムの証券取引所に上場している銀行は

当行のほか、次の9行です。

ベトコムバンク(VCB)、ベトインバンク(CTG)、

エクシムバンク(EIB)、アジア商業銀行(ACB)、

サコムバンク(STB)、アジアコマーシャル銀行(ACB)、

サイゴンハノイ商業株式銀行(SHB) 、

ハブバンク (HBB) (ハブバンク商業銀行)、

ナムベト商業銀行(NVB)。

 

これらの銀行のなかで 

軍隊銀行(MBB)はROAで3位、

ROEで4位の位置にあります。

 

また、貸付残高ではSVA(=The State Bank of Vietnam。

ベトナムの中央銀行)の分類に従えば

第1グループに区分けされた4つの銀行の

1行になっています。」

 

また最近就任した会長が社員向けに

「2012年はTOP5の銀行としての位置を

確かなものとしよう」とのメッセージを流しています。

 

こうしたことから、同行内では

「Top5入り」が今年の合言葉になっているようです。

8月13日、三つ目の会社として

「Military Commercial Joint Stock Bank」

 (MBB略称MB)、軍隊銀行を訪れました。

 

この銀行にはジャパン証券の平本社長にも

同行いただきましたが、私達を迎え入れてくれたのは

略政策研究部長という肩書のマネージャでした。

 

この銀行を訪れたのは昨年3月ハノイを訪れた際

平本社長からこの銀行について説明を聞き、

一度訪れる価値があると感じたからです。

 

またベトナム社会の事情に通じている知人から

「軍隊銀行はベトナム国民から

親しまれている銀行です」とのコメントを

いただいたからです。

 

さて、応対くださた部長さんが

挨拶代わりに語られのが

「当行は最新の国際的な信用格付けでBIの評価を

得ています」とのこと言葉でした。

 

そして続けて次のように説明されました。

 

「当行は1994年に設立され、

以来18年間、事業活動を続けていますが、

毎年、利益を挙げ、中央銀行からは

Aランクの評価をいただいているのです。」

 

「とくに1997年から2008年の間、

タイを中心にアジア各国で

急激な通貨下落による金融危機が起こりましたが

この間も利益を出したました。」

 

「この5年間、ROE(=当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

=株主の持分に対してどれだけの収益を

生み出しているのかを示す株主資本利益率)は

18%から20%で、銀行内で最も高い率だったのです。」

 

「子会社として証券会社(タンロン証券)や

資産運用会社(MB Capital Management Joint Stock Company)

がありますが、それぞれ高い成績を挙げています」

とのことです。

 

私を含め訪れた友人たちは

「軍隊銀行」という存在に違和感を感じたと思うのですが、

国民から支持を得ている銀行なんだなあとの印象を

受けたと思います。

ベトナムの保険大手の金融グループは

2011年から2015年に至る5か年の

事業戦略を構築しています。

 

(1)2011年から2012年にかけて

「One Baoviet–One new foundation」

(「一つのビエット・一つの新しい基盤づくり」)

を合言葉に、グループ全体で共通に使う

ITプラットフォームの構築と

顧客管理を集中化に主眼に置いた活動に注力。

 

(2)2012年から2013年にかけて

「新しいビジネスモデル」(New business model)

の構築をめざし、顧客サービスの質の向上や

金融•保険商品・サービスの統合に注力。

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(3)2014年から2015年にかけて

「グループ内の連結強化」(「Consolidated strength」)

により、子会社間・部門間の横断的協同強化などにより

収入拡大、効率向上、サービスの専門性の向上。

また金融サービス分野でリーディング・ブランドになること、

そして国際競争力を強化し、地域市場へへの展開も強化。

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さて、これらの戦略は株主である

HSBCの支援を得て策定したとのことですが、

伝え聞くところでは、HSBCが保有株式を

住友生命に売却することを検討しているとのこと。

 

そこで、ある方が

「株主がHSBCから他社に変わることで、

これらの戦略に影響が出るのか」

と質問されました。

 

これに対する説明は

「HSBCは2007年に5年間の約束で

BVHの株主になり、いま契約更新の時期に来ている。

HSBCから今後については何も聞いていないが、

今の戦略は入念に検討して策定しており、

仮に別のパートナーが現れても大きな方向については

揺らぐことはありません」とのことでした。

 

以上を持ちまして、BVH訪問の話は終了です。

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