カテゴリ: 1700回~

昨日、グラフ社から、
『ハイハイQさんQさん』シリーズ23巻目にあたる
本の見本が届きました。


本のタイトルは
『中国株は成長株の時代に』です。
帯には

「中国の経済成長もいよいよ第二期に。
 次の成長株見つかりましたか。
 物差しを間違えないように。」

とあります。


末尾には
「高度成長下の成長株は宝の山」
と題した私の解説が載っています。

先月発売された
 
『ハイハイQさんQさん』シリーズ22巻目の本は

『中国株で一山当てたい人は集まれ』でした。

この本を手にして読まれた方は
お気づきになていると思いますが、
一度はインターネットを通して
読んだ文章であっても、
活字にしたものを読むと、
インターネットでサーと読んだときには

気づかなかった新しい発見があります。

そして時間を置いてまた読むと、
またまた新しい発見があります。
そういう深い価値を内蔵しているいるのが
邱さんの本の魅力です。

本は自分で買って、
参考になりそうなところは線など引いて
何度もくり返す中で、知識や知恵が
身についていくようになると感じています。


ですので、本代を惜しまないことが
大切ですが、本を置くスペースがない
とおっしゃる方は地元の図書館に注文し、
そこから本を借りて、お読みください。
本という形で接することによって
刺激されるところがたくさんあると思います。

「邱永漢さんはネイミングの達人です」
と書いて思い出したのは、グラフ社が
『メシの食える経済学』
『先の見えない者は滅びる』
に続き、女性向けの文章をまとめた
エッセンス本のタイトルに
『女もお金で勝負する』(昭和59年)
という名前をつけたことです。

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半世紀前に出た本なので、
この本のことをご存知でない方が
ほとんどだと思いますが、
邱さんの昔の作品には
『女の商売・成功の秘訣』(昭和43年)
『妻の財産づくり』(昭和51年)
など女性に向けて発信された本があります。

グラフ社はこれらの著作に書かれた
作品をまとめた本を女性向けのエッセンス本を
企画したわけですが、この仕事にタッチした

人から聞いたのですが、邱さんは、
映画の題名にヒントを得て、この本の
タイトルを決めたのだそうです。

調べてみると、昭和32年に
女は一回勝負する』

というタイトルの洋画が
日本で公開されています。

映画は皆が楽しむ娯楽で
多くの人が口づさんだり、目にしています。

親しみを覚えています。

本もいくら良いことがかかれていても
売れないことには話になりませんが
誰もが親しめるようなタイトルだと
手にとてもらう可能性が高まると
邱さんは考えたのでしょう。

作品執筆と同時に
そのタイトルづけにも頭を絞る
邱さんのご苦労がうかがわれる話
だと思います。

私が出版社の要請を受け入れて

書いた体験記の根底にあったテーマは

会社勤めの身にど付きまとう「定年」のハードルを
どのようにして乗り越えてきかたということでした。

 

そのため「定年の壁を破る法」とか

「定年のハードルを乗り越える法」といった

タイトルが良いのではないかと思いました。

しかし、出版社の人は難色をしました。
「定年」には暗いムードがつきまとうとというのです。


またある方に読んでいただくと、

「戸田さん、これは『邱永漢作品の読み方』ですね。

その線で一部書き直したらどうでしょう」

と言われ、そのアドバイスに従いました。

 

そして

「師匠に選ぶならやっぱり第一級の賢者」

「賢者とつきあえばあなたも幸せになる」

「知恵を借りたらあなたも賢者」

「借りた知恵は惜しまず使おう」

といったタイトルを考えました。

そして、私は邱さんに私の書いた原稿を
読んでいただこうと考えました。
私の原稿には邱さんの言葉を
ふんだんに引用させていただいており、
邱さんのご了承をいただく必要があると考えました。

そして、どんなタイトルが良いか
邱さんのアドバイスをいただけないだろうかと
虫のいいことを考えていました。

そう考えて、邱永漢事務所に出向き、
原稿を提出したこところ、邱さんが
早速に読んでくださり、間髪を入れず、
『あなたも賢者になれるー

 私は邱永漢の知恵に借りた』と

というタイトルを決めてくださいました。

このタイトル案を聞いて最初は
「こんな偉そうな表題でいいの?」と
驚きましたが、いまは、このタイトルほど
私の書いた文章を言い表している言葉は

ないとも感じました。

古くは『メシの食える経済学』、
最近で言えば『絶世美人』とか
『中国株で一山当てたい人集まれ』
とか、邱さんはネイミングの達人だと思います。

『新・メシの食える経済学』に寄せられた
邱永漢さんのまえがきを3回に亘って紹介しましたが

私がこの本の編集原稿をグラフ社に届けたとき、
中尾是正社長(故人)が待っておられました。

 

中尾さんは私へのお礼もそこそこに、
私に自分自身の本を書くことを強く勧められました。
いま経済がスッカリ変わってしまったので
そういうことをテーマにして、書いてみませんかととのことでした。

実は自身の本を書いてみないかというお誘いは

『原則がわかれば生き残れる』を編集した頃からありました。
私は自分に独自の本を書く力はない

と思っていましたので、固辞し、邱さんの抜粋本の
編集などの面で協力を続けたいといってきました。

ただ、社長じきじきにどうしても書くようにとの強いお誘いで、

断っても、スタッフの方からどうしても書くようにとのことで
何かを書かないと、ことが収まらないような雰囲気でした。

 

「自分で書きたいと思うテーマでいいから

書いてみてくださいよ」と何度も言われ、
自分が邱さんの文章に出会い、以降、
邱さんから色々なことを教えていただき、
公私両面で教えていただいたことを
実地で活用したことなら書けるとの考えが浮かんできました。

・都心部の便利のいい場所にあるマンションに投資して
定期収入を得る道を講じたこと。
・株式投資に失敗したことで、株で成功するための
要諦を学んだこと。
・新規事業の開拓に失敗したことで、「商売の要諦」
 を学び、新しいビジネスを開拓したこと。
・日本での体験を活かし、香港、続いて北京で
マンションに投資したこと。
・後半の人生を充実した気持ちで過ごせるようにするため
 50歳で会社を辞め、研修講師の道に転じたこと。

などなど。

  こういう体験を文章にしたら、後輩の人たちにも多少、

役に立つところがあるのではないかと考えました。

こうしたことから、私の自著『あなたも賢者になれるー
私は邱永漢の知恵に借りた』が生まれることになりました。

いまになってわかったことですが、
中尾さんからの執拗なお誘いは
無償で『新・メシの食える経済学』の編集を
請け負ったことへのお礼返しでした。

前回紹介した『新・メシの食える経済学』
のまえがきの続きで、最後のところです。

「『メシの食える経済学』も20年近くたってみると、
そのままでは『メシの食えない経済学』に
堕ちかねないところまで来てしまった。

私自身、バブルがはじけたあと次々と
自分の考え方に修正を加え、
時代に対する私なりの新しい対処の仕方も
やるようになった。

社会全体が老齢化してるし、
産業界全体が急激な勢いで
グローバル化の道を辿っている。

こういう時代にはこうした変化に
ふさわしい心構えと配慮がなければ、
事業経営も財産づくりもできなくなっている。

そういう必要を痛感しているところへ、
グラフ社から再版の話があったので、
いっそこの際、2000年代に波長のあった
『新・メシの食える経済学』に全面的に
やりなおしてみてはどうかという提案をした。

できあがったのを見ると、
タイトルは同じでも内容はほとんど一新
してしまっている。

さすがにお金は生き物だけあって、
環境が違うと生き方もまるっきり違ってしまっている。
お金のそうした新時代の生き方が皆さんの
ご参考になればとひそかに願っている」

いま『新・メシの食える経済学』の目次を見ると、
旧版を参考にしながらも、邱さんのその時点での
最新の考え方を盛り込むように努めたことが
思い出されます。

例えば、
8章  海外投資はシロウトの方がチャンスがつかめる」には
・財産三分法も国際化の時代に入ってきた
・魚のうようよいるところに移った方がチャンスがつかめる
・リスクを恐れるな。チャンスがあるかどうかが問題。
・通貨の強くなる発展途上国が狙い目
・虎に食われないですむ対策を考えて宝の山に近づく
・危険分散のために三分の一は日本に残す

といった小見出しを並べています。

これらは日本が成熟社会に入るようになってから
邱さんが提言し、かつ実行するようになった
考え方を伝えています。

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