カテゴリ: 1450回〜

私は少年に聞きました。
「いま中学受験をめざして
頑張っていると思いますが、
勉強は楽しいと感じていますか」

少年は下を向きになり
勉強が楽しいとは思っていない
ことを示しました。

そこで、私は少年と同じ頃
自分が体験した次のような話しました。

“私は淡路島の田舎
(子午線が走っている明石の対岸の猟師町)
に生まれ、育ちました。
受験のムードなど全くないところでしたが、
5年生の頃、人づてに、対岸の神戸や西宮のには
私立の中学校があることを知りました。

そこで、そういう学校に行きたいと親に言い、
6年生になった時、小学校の5年の時の担当と
6年の担当の二人の先生に、代わりばんこに
家に来てもらい、受験のための勉強をしました。

しかし、残念ながら神戸の中学校の受験は失敗しました。
でも、親が仕入れてきた情報によると、
中学2年生になるとき、編入試験があり、
それをパスしたら、失敗を取り戻せるとのこと。

私は挑戦したいといい、中学一年生のとき、
地元の中学校に通いながら、毎日曜日、船に乗り
親が捜してきてくれた3人の先生の戸頃に通いました。

まず船に乗って、明石にわたり
電車に乗って午前中は芦屋の算数の先生、
午後1時ごろ神戸の国語の先生、
そして午後3時ごろ明石の英語の先生のお宅に伺い、
勉強しました。

おかげで中学2年になるとき、
西宮の私立の中学校に編入で入ることができました。

今振り返ると、こうして勉強したおかげで
自分で進んで勉強する習慣がつき、
勉強することが楽しいと感じるようになりました。
このことが大切で、進んで勉強し、勉強が楽しい
と思う境地を拓いたら、目標の大学にも
進めることができると思います。」

私の家を訪ねてきてくれた小学6年生に
聞きました。

「いま私立のA中学校に入ることをめざして
勉強しているということですが、入る可能性は
どのくらいですか」
「合格する確率は10%です。」

「私立のB中学校も受験する予定と
お父さんから聞きましたが、可能性は
どうですか」
「合格の確率は40%です。」

「いずれも合格することは
容易ではないということですね。
当面の課題から目をそらすという
わけではありませんが、
東工大に合格するという大きな目標を
達成するには、別段私立の学校に行く
必要はないと思います。、
公立の学校でしっかり勉強して
東工大に入学している人もいますよ」

この説明に対して
少年から反論がありました。
「でも私立の中学校に進むために
これまで塾に通って勉強してきたので、
私立の中学校に行きたいです。
B中学校のほかに、C中学校とか
D 中学校も受けたいと思っています」

それを聞いていたパパさんが
「学校を受けるのにはお金が
かかるんだから、どの学校を
受けるかはある程度絞らないとね」
と口を挟みました。

この応答を受けて、
受験目的の塾に通えば、
私立の学校に行くことに固執するように
なるのだろうけど、私はそいうことより
もっと大切なことがあることを
伝える必要があると感じました。
私立の中学校に行くか、行かないより
もっと大事なことがあることを伝える
必要があると感じました。

「東工大」に憧れ、
なんとか入りたいと思っている
小学6年生を迎えるにあたり、
私は50冊ばかりの本をそろえました。

一つは、算数、理科好きと聞いていた
少年がすぐにも興味を持ちそうな本で、
我が家の長男が小学生の頃私が買い与えた本です。

・『代数の第一歩』(WWソイヤー著)
・仮説実験授業の提唱者、板倉聖宣が書いた
『科学的とはどういうことか』と『ぼくらはガリレオ』。
・板倉さんの友人の江沢洋さんが書いた
『誰が原子を見たか』。

・板倉さんがまとめた
『少年少女科学名著全集』約20冊、
『発明発見物語』約10冊。

もう一種類は、東工大に受験するために
将来中学、高校に入れば
読んだり取り組んだりする本で
東工大の入学試験問題集を先頭に
英語、数学、国語、物理、化学関係の
参考書や問題集で、今回取り揃えました。

これらの本を少年に見せて、
どんなことが書かれているのか
“解説”をしましたが少年は結構
興味を示しました。

前者のタイプの本にはすぐにも
親近感をもったようで『代数の第一歩』とか
『ぼくらはガリレオ』を手にとって興味
深げにページをくりました。

また数学の参考書や
物理の入門的な参考書や
東工大の入学試験に出される問題にも
興味を示し、知らないことをいろいろ
勉強しなければいけないのだ、
難しそうだけど、楽しそうだ
と言う印象をもったようです。

たまたま、一対一の交流を
通して親しくなった40歳ちょっとの
パパさんの息子さんが、
親の目からは少し心配なところがあるけど、
“東工大志望”だと聞いて、面白いと思いました。

そこで役に立ちそうな本を20冊ばかり
パパさんに持ち帰りいただいたのですが、
帰って奥さんと話さたところ、
できるだけ早い時期にパパが
坊ちゃんを連れて小生宅を訪れ
アドバイスをいただきたい意向であるとの
メールをいただきました。

私が了解する旨の返事を送ると、
しばらくしてから、パパさんと息子さんだけでなく、
奥さんと妹さんも行っていいかとの打診があり、
私は歓迎しますと返事しました。

かくして、夏休みになったばかりの
7月のある暑い日、小学生6年生の坊ちゃん、
小学校3年生のお嬢ちゃん、そしてその
ご両親と拙宅で向かい合いしました。

「お父さんから将来は東工大に入ることを
希望していると聞きましたが、本当に
東工大に行きたいのですか」
と坊ちゃんに聞くと少年はうなづきます。

「東大もいい大学だけど、東大より
東工大のほうがいいんですか」と聞くと、
「東工大が良いです」とキッパリ答えます。

「それにしても、6年生で
東工大に入りたいなんてすごいね。
これまで10回くらい、
東工大の学園祭を見てきたとのことだけど、
東工大の学園祭に行こうと提案されたのは
どなたですか?」と伺いました。

「私です」とママさんが控えめに
おっしゃいました。

「長男が2、3歳の頃から
役に立てばと思って、東工大の学園祭に
連れて行ったんです」とのこと。

私は感激し、6年生の坊やに
「君が東工大ファンになたのはお母さん
のおかげだね。お母さんに感謝しなくては」
と言いました。

すると、日ごろお母さんの言うことを
聞かないで、困っていると聞いていた
小六の坊やが、「お母さん、ありがとう」
お母さんのほうを向いて頭を下げました。
私はいい光景だと思いました。

前回、紹介した話の続きです。
お子さんの行動に手を焼いているという
話をうかがって、てっきり勉強が
好きでないお子さんかと思いました。

勉強が好きでない子供はいっぱいいます。
でも苦にすることはありません。
人生にはさまざまなコースがあります。
「例えば、料理人になる道なんてどうです」
と私はパパさんに話しました。

「料理人ですか?」と、パパさんは唸り、
「息子はトウコウダイに行きたいいているんです。
トウコウダイに憧れ、トウコウダイに
行きたい、行きたいと言っているんです」
とパパさんはおっしゃいました。

「トウコウダイって東京工業大学のことですか?」

「ハイ、そうです。この10年、毎年
東工大の学園祭に行き、東工大に
憧れの気持ちをもったようです。
理科の勉強が好きで、滑車の問題なんか
友達と一緒に問題を作ったりしているんです」

「小学6年生で、自分が入りたい大学を
イメージしているってめずらしいしm頼もしいですね。
ただ、東工大はご承知のとおり
東大と並ぶくらい入学が難しい学校です。
自分で工夫しながら、勉強する姿勢を
身につけさせる必要がありますね。」
と私は応じました。

そして、パパさんに、
「私の自宅に一緒に来てくてくれませんか。
役に立ちそうな本を渡します」と話し、
その足で私の自宅に来てもらい、
役に立ちそうな本を20冊ばか
集めてパパさんに渡しました。

そのうちの半分は斎藤孝さんの
『ガツンと一発』シリーズの12冊です。
他の本は受験への取り組み姿勢を
促すような本です。

それらのテーブルに並べ
それぞれの本を解説し、
これらの本を持て帰ってください
と言いました。

パパさんは、しげしげと
テーブルの前に並んだ本を眺め
「こういう本があるんですね。
息子も本を読むのは好きです。
ありがとうございます。
いずれ、また時間をつくって
息子と一緒にうかがわせていただきます」
パパさんは帰途につきました。

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