カテゴリ: 1200回〜

糸川英夫さんの一日24時間を、
「生きるための時間」、「仕事の時間」、
「生きがいの時間」の三つの時間に配分して
生きるという「一日24時間法」という
人生設計の方法を再読して思い出したのは
糸川さんと親交のあった邱永漢さんや、
邱さんが親しくされていた故高島陽
(たかしまのぼる)さんの生き方です。

高島さんについては前に書きましたが、
渡部昇一さんが『人間らしさの構造』
(その後『生きがい』に改題)という本で
「生きがい」最優先を実践された
高島さんの生き方を次のように紹介されています。

「この高島さんが、サラリーマンに
面白い忠告をしているのだ。
普通のサラリーマンが一生かかって働くと、
5千万から1億円くらいの収入がある。
それを毎月、給料としてもらうと、それから、
先ず下宿代とか食費とか洋服代とかいう生活費を払う。

そして小遣いとして月、2,3千円使うと
いうのが普通の人ではないだろうか。
このような発想法では、一生働いて
総計5千万なり1億円なり働いたとしても
『いったいおれはあの1億円を
どこに使ってしまったのだろう』
ということになりかねない。

これでは何とも情けない、あわれであるので、
高島さんは、収入が多かろうと少なかろうと、
まず最初に『生きがい費』として差し引いて生きる
という生き方を勧めておられる。

そのために日常の生活は切りつめてもよい。
『耐えられないのは、ただ食べて着て寝るだけで、
あたら人生を終わってしまうことだ』
と言い切っておられる。
私は、この言葉を読んだとき
目の前に電光が走るような気がした。」
(渡部昇一「『人間らしさ』の構造」。昭和47年)

高島さんは邱さんの以前の本によく登場された方ですので
名前だけはご存知の方もおられますかもしれません。
私はせいぜん、一度お願いして、会っていただき
ご意見を賜ったことがあります。
すばらしい人生を全うされ、高島さんが築かれた
お仕事はご長男の高島健一さんが引き継いでおられます。

糸川英夫さんが平成7年に発刊した著作に
『人生に消しゴムはいらない』
と題する本があります。
昨年の暮、何気なくこの本のページを繰ると、
「人生新設計法『24時間法のススメ』」
という見出しが目に飛び込んできました。

興味を惹かれ、その箇所を読むと、
最初に、今の私たちが当然のことのように
受け入れている一般的な人生設計
(人間の人生を三つに分ける区分)が
紹介されています。

(1)人生の成育期(第一期・20歳から25歳)
 学習の時期(成長期で就学、非社会人)

(2)人生の収穫期(第二期・25歳から65歳)
 勤労の時期(成人し、就職、社会人、家族と社会を支える)

(3)人生の成熟期(第三期・65歳以降)
 リタイアの時期(子育ても終わり、自適の人生を過ごす)

この人生の三区分について糸川さんは
「人生設計として無理がある」と指摘し
次のように述べています。

「ここで一つのたとえをお話しましょう。
昆虫は卵からサナギいなり、やがて
成虫になるとき、ほとんどの昆虫は
各段階で,個体の能力は飛躍するのです。
ちなみにさなぎから成虫になるとき、
ほとんどの昆虫は飛翔能力を獲得します。
これなら昆虫を三分割しても意味をもちます。

しかし、人間は成人したからといって
飛翔的な能力が備わるわけではありません。
人生三分割による昆虫的人生設計では
人間性はなくなってしまうのです。

考えてみれば、人間は、平均寿命が長くなっていて
高齢者の人数も飛躍的に増えています。
定年後に楽隠居して、それまでにできなかった
ライフワークや趣味を楽しめる余裕が
なくなりつつあります。
 
仮にそれが可能としても先に述べた
サンシティのケースのように、
ライフワークや趣味の成果が
誰にも相手にされず、むなしさを味わったり、
孤独に悩まされる結果に終わりかねません。 
悠々自適の理想的な余生は
望むべくもないことになりかねません。 」

文中にあるサンシティとはアメリカの
私的年金を運用する会社が建設した町のことで、
糸川さんはこの町に住む旧知の友人を訪ね、
指摘するような現実に接してたことを書いています。

私は邱永漢作品として世に出た本は
すべて読んでいます。
どの本にも独自の魅力があり、
邱さんの作品を読んでみたいという人には、
全部読んだらと言いたくなります。

でも、私などは、邱作品が続々発刊され、
つど新刊本を読むチャンスに恵まれたので
連続的に読み続けてきたということも
関係していると思います。

ですから、これから、邱作品を読みたいという人、
あるいは、改めて自分が読んできた
邱作品を点検したいと思われる方には、
もう少し丁寧なガイドが必要かとも思います。

そこで、一人の邱永漢作品の愛好家である
私の場合、どのような本を読み、
どのような教示を受けてきたかを
具体的にお話させていただこうと考えました。

私の場合は、不動産とか株への
投資法について、勉強し、
そのあと、邱さんの生き方とか
邱さんが次から次に仕事を創り出す
要領にふれる作品を読み続けてきました。

そして、私などが邱作品に接する前に
書かれていた小説とか評論を収集して
愛読するようになりました。

そうした過程を経て
邱作品を読むようになった私が
具体的にどの著作に接したきたかを
来る1月17日、渋谷でお話します。

最初は10冊くらいに絞れないかと
思ったのですが、私がよい影響を受けた本は
ギリギリ絞って40冊、無理なく言えば
50冊くらいになります。

邱永漢さんという作家の本を読むことで
一人の読者の人生がどう変わってきたかを
伝える会にもなろうかと思います。

ご関心なる方は、どうぞご参加ください。
このセミナーは邱永漢作品の価値を
伝えるものなどで、参加費はありません。

今から17年前のこと、
私は49歳になっていましたが、
できることなら、邱永漢さんの作品の中から、
特にこれが良いと思う文章を選び出し、
そうした作品をまとめる作業を
させていただけないかと思い
邱さんのエッセンス本をたくさん出している
グラフ社を訪れました。

当時私は新日鉄の部長をしていて、
出版社の人が、対応に苦慮され、
残念ながら、「承知しました」とは
言ってもらえませんでした。

それならと思って、あるところに、
邱さんの本を読んだことが、
私生活の面でも、会社での仕事の面でも
大いに役立ったということを書きましたが、
それが邱さんの目にとまり、
出版社を訪れから1年たったところで、
私は邱さんの作品抜粋本を
刊行させていただきました。

この本に掲載する邱さんの文章を
私があちこちの邱永漢作品から選び、
それに解説を書いて、出版社に提出し、
それが邱さんのもとに運ばれ、
邱さんが原稿を一読されたあと、
本の「タイトル」を決め、
「まえがき」をお書きになりました。

そうして出来上がった本が
『原則がわかれば生き残れる』です。
この本が刊行されたとき、私は50歳で
新日鉄を退社し、研修講師として
第二の人生をスタートさせていました。

それから先の人生に期待を寄せながらも、
私の心はこれから先、うまく乗り越えられるか、
不安の感情で一杯でした。

しかし、邱さんは
「この本に書かれたことを守る限り、
生き残これます」という力強い
メッセージを送ってくださたわけで、
「邱セオリーに信頼を寄せて生きてきた
自分はサバイバルできるのかもしれない」
と自分に言い聞かせました。

それから、16年の年月がたちました。
今年で私は66歳になりますが、
おかげでなんとか、生き残ることが
できています。
邱さんのメッセージは本当でした。
あなたも「邱永漢学」を学んで、
生き残りを図ってください。

「邱永漢学入門セミナー」は
2月1日からスタートします。

昨日に続き、13年前に
「邱永漢・大人(たいじん)の哲学」
に記載されている「効能別の邱永漢ブック・ガイド」
(作家の山口文憲さんがまとめられたものと思います)
の続きをご紹介します。

○ 食べること大好き向きのかた向き。
『旅が好き、食べることはもっと好き』
『邱飯店のメニュー』
『食は広州に在り』
『食指が動く』

大人の奥方が料理研究家になったのは、
大人の舌があまりに肥えていたためだったという
話をきく。
懈怠のグルメの薀蓄を存分に堪能してください。

○ 大人の人生に関心のあるかた向き。
『わが青春の台湾 わが青春の香港』
『香港発 娘への手紙』
『中国人と日本人』
『私の金儲け自伝』

数奇な運命を自身の力で切り開いてきた
大人の自伝的著作、また日常がうかがえる
著作を挙げた。特に「香港発~」は、
長女、世嬪さんにあてた手紙18本を収録。

娘へあてて書くという形式ゆえに、
他の本には見られない氏の日常的生活や
思いなどが綴られている。

○ 大人の小説
『邱永漢 短編小説傑作選』
『香港・濁水渓』

大人の小説は、その物語の
構築力において、稀有の才能を発揮している。
ストーリーテリングの面白さ。
どんどん読めてしまう。
その上アジアの歴史への理解も深まる。

その他、『邱永漢ベスト・シリーズ』(全50巻)

「効能別の邱永漢ブック・ガイド」は以上です。
13年前の紹介ですが、邱著作の代表作が上手に
紹介されていて、邱さんの著作に関心を持つ人たちに
参考になるのではないかと思い紹介しました。

↑このページのトップヘ