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このハノイに拠点を置く3社の訪問と

美味しいベトナム料理に好感をもった私達は

その年の夏と秋、ホーチミンに

拠点を置く上場会社を訪ねました。

 

こうした形で始まった会社訪問活動が

今に至るまで続いているのですが、

この活動を通して感じることは、

ベトナムと日本との関係の強化と深まりです。

 

昨年(2012年)夏、ベトナム4大銀行の一つ、

「べトイン・バンク」《CTG》を訪れましたが、

訪問後,この銀行の株の20%を

三菱東京UFJ銀行が取得することが発表されました。

 

すでに「ベトナム・エクシムバンク」《EIB》に

三井住友銀行が出資しており、

日本の三大銀行がベトナムの銀行に出資しているのですが、

この動きはいまの日越関係を象徴しています。

 

昨年経験したことですが、

ある訪問企業で提携先の日本企業から

派遣されている日本人スタッフが同席し、

私たちを迎えてくれました。また、

 

ある会社のスタッフは

ベトナム語や英語でなく日本語で説明してくれました。

今年も夏にホーチミンを訪ねますが、

この街では住友商事の手で、

地下鉄工事が始まっていると聞いています。

こうした刻々変わるベトナムの風景に接しながら、

個人として新興国、ベトナム経済の発展に

タッチする活動を楽しんでいます。

その次に訪れたのが、

ホアファット鉄鋼グループ(HPG)という会社です。

電気炉による棒鋼製造を中心に、

鉱山開発、コークス製造、家具・冷蔵庫・建設機械の製造

などの事業も展開している会社です。

 

私達の相手をしてくれたのは社長のドゥオング氏で50歳。

「この会社は1986年(昭和61年)に

国立経済大学(National Economics University)を

卒業した同級生6人が語り合って起業しました。

 

建設用の機械をつくる小さな会社として出発したのですが、

やがて、ベトナムでは鉄の需要が大きいと気づきました。

そして一大決心をして、電気炉を導入することを決めたのです。

 

いまは従業員8000人を擁するようになりましたが、

起業時の6人の間で申し合わせしています。

少なくともここ5年間は、自分たちの持株は売らないと。

持ち株は新設備を購入するときの担保として活用するんです」。

この会社の経営者は自分達個々の利益より

会社発展の利益を優先させていることが伝わり、

訪問者一同、好感を持ちました。

 

ベトコンバンク・ビン会長の

心温まる御挨拶で

私達の心の中にあった国境の垣根が無くなり、

質疑応答が続く中で、

同行の事業状況についての理解が深まりました。

 

印象に残ったのは、

ベトナムでは銀行の利用度合いがまだまだ低いことで、

成長余地が大きいと感じました。

 

また「株の9割はベトナム政府が保有しているが、

戦略的パートナーを探索中です」との説明がありました。

 

さしたる注意も払わず聞いたのですが、

その年の11月、「みずほフィナンシャルグループ」が

約450億円でこの銀行の発行済み株式の

15%を取得することが発表され、

水面下で日本の銀行との間で交渉が

行われていたことに驚いたことでした。

最初に伺ったのが

ベトナム中央銀行の為替部門が分離して生まれた、

ベトナム4大銀行の一つ、「ベトコムバンク」(VCB)。

 

東北大震災直後の訪問ということで、

同行の最高幹部、ビン会長が迎えてくれました。

『皆さん、ベトコムバンクに来ていただきまして、

ありがとうございます。

 

皆さんが東北地方で起こった大震災のなか

ベトナム・ハノイに来られ、

当行を訪ねたと伺い感激し、ご挨拶のため参りました。

 

皆さんが当行に来ていただくことは

ジャパン証券さんを通じ、昨年秋から伺っていました。

しかし、お見えになる直前に大震災があり、

悲惨な光景がベトナムでも伝えられ私達も心を痛めています。

 

ですので、皆さんのご訪問は取りやめになるだろう

と思っていました。にもかかわらず、

全員、御来行いただくと聞き、驚きました。

 

日本人が約束を守る国民であることは良く知っていますが、

改めてこのことを強く感じました。

 

ベトナム政府は今回、被災にあわれた日本の方々に

お見舞金を出すことを決めましたが、

私たちの銀行も見舞金を贈ることを決めました。

 

ベトナムの諺にもありますが、

困難を越えることで人間はより強くなり

連帯感も強まると思います。

日本の皆さんが今回の困難を克服し、

より逞しい国になることを願っています。

 

当行の業容については

担当役員から説明させますのでお聞きください。

厳しい状況のなか、お訪ねいただきましたことに

改めて感謝の気持を表します」。

 

時々涙をぬぐいながらの御挨拶で、

「ベトナム人が涙もろい国民であることを

お許しいただきたい」

ともおっしゃり、私達の方が恐縮しました。

ただ、2007年のベトナムの株式市場は、

素人の目から見ても、一時の熱気で高騰し、

これが冷めたら株価も急落するように見え、

その時点での株式投資は控えました。

 

果たして、2007年の末から

ベトナムに流入していた海外からの資金が引き揚げ、

株が下落するだけでなく、

金融面で危機的な状況に直面するようになりました。

 

また、当時、ベトナムの証券会社は

海外からの投資口座設定者に、

定期的に口座維持料をかけるなど、

投資意欲をそぐ所がありました。

こうした状況を前出の邱氏も見ていたのでしょう、

氏は日本人が安心して

ベトナム株を売買できる環境を創る必要があると考え、

ベトナムに日系の証券会社を設立しようと、

日本の証券会社数社に働きかけました。

 

「いや、ベトナムの投資規模は

日本からの投資資金を受入れるのは小さすぎる」

といった理由で、この提案は

容易には受け入れられませんでした。

 

しかし、邱氏の根気強く働きに

「藍沢証券」と「日本アジアホールディングズ」が賛意を表し、

2009年9月、

ベトナム資本(Viglacera EXIMほか)51%、

日本資本49%(邱永漢事務所の香港法人、20%。

藍沢証券、14.5%。

日本アジアホールディングズ14.5%)の

「さくら証券」が誕生しました。「さくら証券」は

2010年10月、「ジャパン証券」JSI

(Japan Securities Incorporated)と改称されましたが、

ハノイにオフィスを構え、

ベトナム株の仲介業務やM&Iのための市場、

企業調査業務を行うベトナムで

唯一の日系証券会社として活動を始めました。

私はこの会社は

「日本とベトナムの間の橋渡しをしてくれる貴重な存在」

と感じ、JSI社スタッフ各位と交流を深め、

ご厚意により、2012年3月21日、

総勢21名でハノイを訪れ、

同地に拠点を置く上場会社を訪ねました。

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