2015年01月

株を始めたら、すぐ気が付くことですが、
大抵の人は株で失敗をします。

かりに、最初はうまく行っても、その次には
大抵失敗します。

そして、「どうして上手く行かないのだろう」
と思い悩むようになります。

しかし、失敗を招いた原因はいろいろ考えられ、
根本的な原因をつきとめることは
たいへんむつかしいです。

自分でその原因を
明らかにすることはできないのではないでしょうか。

そうした場合、自分の姿を客観的に映し出し
失敗の根本原因を見出す鏡になるが
邱先生が遺してくれた「株の原則」だと
私は考えています。

私は自分自身の苦い体験から、
そのように考えています。

 

邱先生が明らかにしてくれた「株の投資原則」を
勉強する教材としては、『株の原則』という本が
一つです。

ですが、この本のあと、『株が本命』とか
『株は魔術師』、『株の目 事業の目』さらには
『シルバーーグレーの金銭学』などで、
先生の株に対する姿勢が述べられました。

これらは、いずれも、投資対象が
日本株であった頃の著作で、
いまでは、これらの著作をご存知ない方も
多くなっているのではないでしょうか。

さて、比較的若い世代の方が、
邱先生の投資原則にふれたのは、
中国株投資が活発になたころ、
「もしもしQさん」誌上で書かれたものではないでしょうか。

語り口口調で書かれましたので、
先生の「投資原則」に親しみを感じながら
接せられた方が少なくないと思います。

そして、有難いことに、
これらのコラムが本として保存されています。

つまり邱先生が明らかにされた
「株の原則」を学ぶための教材はたくさんあるのです。

ですから、これから、株を始める方も
「株の原則」を学ぼうとしたら、たくさん遺された
著作に接することで、学び取ることができるのです。

 

 

 

『株の原則』のオリジナルは、
ごま書房から1983年に出版された
『邱永漢の株入門』である。

私にとっては、
初歩的なことをくどくどくりかえすのは
性に合わないことだという気持ちが強かったが、
世代も変わり、はじめて証券会社の門を叩く人も多いことだから、
そういう人にもわかる、ごく原則的な株式投資の本を
書いて欲しいと言われた。

なるほど、それもそうだと考えなおして、
ゴマブックスの一冊として出版してもらったところ、
何と30何万冊も売れた。
鮮度を尊ぶ株の本ととしては
異例のロングセラーを続けたので、
私自身意外な気もしないではなかったが、
株を長くやっているベテランの人たちに聞くと、
『あれは私の株式投資のバイブルですよ』
といわれて、『へーえ』ともう一度
びっくしたことがある。

舟に乗って、
毎日波に揺られ続けているような相場の世界で、
甲板から振り落とされないように身を守る術は、
いつの時代になっても変わらないものなんだなあ
と改めて認識を新たにした。

それにしても、あれから時間もたったことだし、
壁をぬりかえるくらいの手入れは必要だろうと、
1996年になって『株の原則』とタイトルを変えて
新装本として出版した。」

今般、文庫本として
もう一度世に問うことになったが、
ちょうど長く冬眠を続けてきた株式市場に
夜明けを告げる鬨(とき)の声も
きかれるときだけに、
株で勝者になりたいと願う新しい戦士たちの
参考になればとひそかに願っている」

 

平成8年に発行された『株の原則』
のプロローグを再読しました。

邱先生は初期のころのご自身の
講演のことにふれながら
次のように書かれています。

「いま思い出しても、
当時、講演会で話した内容も、
いまこの本でお話ししようとすることも、
株の理論や経済学とはほど遠いものです。

同じ私という人間が、
体験をとおして覚えたというのは、
そう簡単に変わるものではありません。

つまり、投資の環境は変わったし、
それに対してどんな銘柄を買おうかといった
株の“選手交代”はあったとしても、
それに対してどんな態度で臨まなければいけないか、
といったことに対しては百年たっても
変わらない原則を導き出すことができるはずです。

日々変わる現象としての『株』を書こうとすると、
この株は1000円になるはずだ、
いやあとで3000円になるだろうといったことを
書くことになります。
しかし、そんな話はたいていの場合、
1ヶ月もしないうちに内容そのものが
通用しなくなってしまいます。

まして印刷物にして発行しようとしたら、
それが世に出るころには、
まったくとんちんかんな
内容になってしまうことすら珍しくありません。
世の経済雑誌のたぐいには、
この手のものが少なくないのです。
ですから、とくに動きの激しい『株』の本などは、
私にいわせれば、
『原則』を話してしまうのがいちばんいい、
仮に銘柄や株価を上げたとしても、
『原則』さえきちんと押さえていれば、
その例を置き換えれば十分通用するのです。」
(『株の原則』)

『邱永漢の株入門』が発刊された
昭和58年(1983年)から13年たった
平成8年(1996年)に『株の原則』が発刊されました。

『邱永漢の株入門』はQ&A方式で書かれていましたが、
この『株の原則』は『邱永漢の株入門』をもとにして
邱先生が書き直したものです。

出版に際し、先生は読者に次の様に
呼びかけています。
「『株』は何のためにやるかと言われれば、
『儲けるため』と答える人が大分でしょう。
しかし、私に言わせれば、株は時代を読む、推理する、
そして楽しむための絶好の題材です。
賭けは、その結果として自然についてくるものにすぎません。
その意味では、推理小説を楽しむように、
時代の変化や経済の動きの筋を読み、
登場人物である、株、の動向を推理することこそ、
『株の原則」と言えるのではないでしょうかー著者」

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