2014年12月

自分が初めて株を買ったのは43歳。
そしていまなお株を楽しんでいる自分は71歳。
数えたら、28年の間、株を続けています。

こういう私のような人間に向けられた
邱先生の言葉に出会いました。

「年をとると、職場からは締め出されるし、
商売を続けるチャンスも少なくなりますから、
あとは金利を稼ぐか、投資をしてお金をふやすよりほか
なくなります。
だから多くの年寄りたちはコツコツ貯めたお金を
銀行に定期預金をしてその利息で暮らしています。

株を買ったり、他人のやっている事業に出資した方が
うまく行くと、実入りが多くなりますが、
失敗すると元も子もなくなってしまうので、
大抵の人は大事をとってそういう冒険は
やりたがりません。
いつの時代でも株で儲けるより
元本の保証された定期預金を選ぶ人が多いのです。


金利は老人にとって大事な収入源を占めています。
低金利政策とはそうした老人から
収入をとりあげる政策ですから、
一方で福祉政策をほどこしながら、
もう一方で老人いじめをやっているようなものですね。

それに比べると、株をやっている老人は
そんなに多くはありませんが。
株のような相場に左右される
不安定な投資に身を任せるくらいだから、
冒険することを怖がらない人だし、
若い時からそうした経験を積んだ、
頭の訓練のできた人だと言うことができます。

但し、株式投資は経験を積んだからといって
上手になる種類のものではありません。
もし経験が株式投資の役に立つなら兜町に
出入りする人たちは年の順序にお金を持っている筈です。
それがそうなっていないのは、
株式市場では同じことが同じ銘柄に起るよりも、
これまでに起ったことのないことが次から次へと
起ってくるからです。

そういう新しい変化を読むことができたら
年齢と無関係にたちまちベテランになってしまいます。
若い時からそうした要領を身につけた人は
お金でお金を生むコツを身につけたようなものですから、
年をとってもお金の心配をしないですみます。」
(邱永漢著『もしもしQさんQさんよ』)

この一年、皆様、ご愛読ありがとうございました。

引き続き、株の初心者に向けての
邱先生の言葉の引用を続けます。

「ふだんから株の予測をする人たちの言うことに
耳を傾けて、はじめは疑ってかかるのが当然ですが、
そのうちに信頼できる人とそうでない人の区別が
だんだんついてくるようになります。
信頼できる人の意見を参考にすればいいのです。

どんな先の見通しのきくすぐれた人でも
百発百中ということはありません。
私だって例外ではありません。
だから適当に参考にして
最終的には自分で決断することです。
間違った人の意見をとり入れても、
最終的に儲けるか損するかはご自分ですからね。

でも株を買うための基礎的な知識とか、
株で儲けるための投資態度についてなら、
いくらも参考書はあります。
私の書いた本の中にもそういう種類の本があります。
ごま書房から出した『邱永漢・株入門』という本は
何十万冊も売れた本ですが、株をやっている人から
『あれは今でも私の株のバイブルです』
とよく挨拶されます。
近く光文社から文庫本で再出版されますから、
参考にして下さい。
20年近くも前に書いた物ですから、
例にあげた銘柄や株価は
すっかり一変してしまいましたが、
株で儲けるために守らなければならない
原則に変わりはないのです。
人間、そんなに賢くはならないものですね。

(邱永漢著『もしもしQさんQさんよ』)

ちなみに、光文社から文庫本で
再出版されたのが『株の原則』です。

株の初心者に向けての
邱先生の言葉の引用を続けさせていただきます。

「初心者はどんな株を買ったらいいかわからないので、

つい証券会社の人に
どんな株を買えばいいかときいてしまいます。
これが一番いけません。証券会社の人は
毎日さまざまの銘柄の株を扱っていますので、
どんな株がどんな値段をしているか一応は知っています。
でもどんな株がどうなるかについては何も知りません。
だってそうでしょう。どんな株が上がるか知っていたら、
証券会社になんかつとめているわけがありません。
誰だってお客の方にまわります。
ですから、間違っても証券会社の人に
どんな株を買ったらいいか、
きいてはいけないのです。」

「証券会社の人にきいていけないとすれば、
誰にきけばよいのでしょうか。
原則的には自分で研究して自分で決めることです。
でも駆け出しの時は何も知らないし、
どこから手をつけてよいかわかりませんから、
誰かに教えてもらいたいですよね。
そういう時は、周囲に株の先輩がいて、
その人に手ほどきをしてもらえれば
一番都合がよいのですが、
そういう人がいない時は、本や株の雑誌を買ってきて
片っ端から読んで知識を吸収するよりほかありません。」
(邱永漢著『もしもしQさんQさんよ』)

私は単なる個人投資家でしかありませんが、
邱永漢先生が公開してくださった
投資の原則にもとづいての実践を楽しんでいます。

また「自分はこのように株を楽しんで今ます」
といいう立場から、株の勉強会を開いています。

ですので、ときどき「これから株を始めたい」という
レクチャーを受けることがあります。

そうした人たちに邱先生が送った言葉を
引用させていただきましょう。

「株をやる人が日増しにふえて、
株式投資がますます盛んになるのは
時代の趨勢(すうせい)です。
世の中が豊かになるにつれて、
人々の持つお金がふえ、そのお金を運用して
お金をふやすチャンスが多くなるのに、
お金をふやす舞台は逆に減っているからです。
たとえば高度経済成長の続いていた間は、
土地が年々値上がりしていましたから、
土地は投資のいい対象でした。
また投資に頭を悩ますのはごめんだという人は
お金を銀行か郵便局に持って行って
定期預金をしておけば、
6%くらいの利息はもらえました。
ところが、いまはゼロに近い金利ですから、
銀行にお金を持って行くのは
家の中においておいて空巣にねらわれるよりは
ましだと思うからです。

今もまだ生きているお金でお金をふやす方法は
株式投資くらいなものです。
競輪、競馬はバクチだし、
とるか、とられるか、のどちらかです。
株式投資にもそれに似た面がありますが、
株価は産業界の盛衰を反映するものですから、
クイーズをやっているうちに無意識に
産業界に資金を提供しているという
おまけがついています。
そういう知的ゲームは
現代人向きのエンターテインメントを兼ねた
利殖法と言ってよいでしょう。

そのためには産業界に対する知識も必要なら、
世の中の変化をうまくキャッチできる
機敏さも要求されますから、
欲の皮を突っ張らせながら、勉強にもなるのです。
株式投資には入学や中退はあっても、
卒業はありませんね。」
(2000年邱永漢著『もしもしqさんqさんよ』)

 自分の持っている株がガクッと下がると
落ち込み、どうしてこういう株を持ったのだろうと
悔やみがちです。

でも株をやる人は過去にこだわってはいけない
というのが邱永漢先生の教えです。

先生が今から27年前の
昭和62年に執筆が開始された
『株は魔術師』は
若者向けの雑誌『ドリブ』誌に連載されたもので、
これから株でもやってみるかというフレッシュマンに
向けて書かれていますが、
第一章「株をやるなら昔のことを忘れろ」で
次のように書いておられます。

「皆さんが、ただ今現在から株をはじめたとする。
すると皆さんは今の株価から出発するよりほかない。
しかし、実はそれは皆さんだけに課せられた
ハンディだけなくて、
昔からやってきた人にとっても同じことなのである。

 

昔からやっている人は、すでに株を持っている。
その中には株価の半値で買った株があるかもしれない。
反対に倍も高い値段で買って半分に引かれた株も
まじっているかもしれない。

 

どんな株を持っているにしろ、また元が安いから
気は楽だということはあったとしても、
今、持っている株の時価がその人の現在の
出発点であって、これからどうなるかは
何ひとつ株を持たず、いまから出発する人と
少しも違うわけではないのである。」
(平成2年刊行・邱永漢著『株は魔術師』)

 

 

 

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