2014年03月

軍隊銀行という名前を聞くと、
国の出資による会社ではないかと思います。

私が、この銀行につて一番知りたかったことは
この銀行はどういう組織、あるいは人たちで
運営されているのかということでした。

前回は、聞き取りで伺ったのですが、
今回は私が聞くまでもなく、
スクリーン・ボードに映し出された資料に
5%以上保有されている株主について、
次のような説明がありました。

(注:()内は2年前の訪問時に伺った数字です。)

1.ベトコムバンク(VCB):9.6%(11%)
2.ビッテル(Viettel)(通信大手):15%(10%)
3.ベトナム・マリタイムバンク:9.30%(8.86%)

このうち一番の株主であるベトコムバンクは
ベトナムを代表する大手銀行で、前回、
同行から銀行業務のサービス、管理、
専門知識、資金調達を強化する上で
支援を受けているとのことでした。

またビッテルからは通信技術、
とくにモバイル(携帯電話)分野で支援を受け、
隣国のラオスへの進出(2010年)と
カンボジアの進出(2011年)は
ビッテルからの支援が支えになったとのことでした。


ベトナム・マリタイムバンク(海運商業銀行)
との関係については
伺っていませんが、
これら三つの組織が大株主で、
政府の出資はないことが確認されました。

軍隊銀行(MBB)は国営でなく
民間資本による銀行なのです。

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2月25日、フォアファット鉄鋼グループを訪れたあと
私たちは軍隊銀行MBBを訪れました。

私としては2年ぶり、2回目の訪問でした。
以前、迎えてくださったと同じ部長が迎えてくれました。

2年前は、暗い部屋で、資料もなく、聞き取りオンリーでの
面談でしたが、今回は見違えるような、明るい会議室で
またプロジェクターによる投影した形でのご説明でした。

前回は、「軍隊銀行」という珍しい名前に
戸惑いながらのヒアリングでしたが、
今回は私たちの知りたいことが、ボードに明示され、
わかりやすいこと、この上ありません。

軍隊銀行は9番目に
上場した民間の商業銀行です。

(ちなみに先に上場した8行は次の通り、
ベトインバンク(CTG)  、エクシムバンク(EIB) 、サコムバンク(STB)  
 
ベトコムバンク(VCB)、 アジアコマーシャルバンク(ACB)     
ハブバンク(HBB)  、ナムベト商業バンク(NVB)   、
サイゴンハノイ商業バンク(SHB))

そして、軍隊銀行の部長が強調されたことは
私たちは、国営銀行から分社された
VCB(ベトコンバンク)、CTG(ベトインバンク)、
BIDV(ベトナム投資商業銀行)という3つの銀行に継ぐ、
4番目の業績を挙げており、
民間の商業銀行として3番目の地位を
確保することを目標にしているということでした。

 

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フォアファット社長は
私たちのインタビューのなかで、
「自分たちのライバルは我々自身です」
とおっしゃいました。

言われる意味は、
現在の位置に漫然としていては明日はないので、
いま次期の経営層にマネジメント教育に
力を入れているとのことでした。

この会社は今の会長、社長など、
同じ大学の同級生6人が申し合わせて
スタートし、いまや一万人を社員を擁する
ベトナムの代表的企業に発展しています。

その過程は波乱に富んだものであったことが
想像されます。
が、大きな会社だから安心ということで
入社してきた社員も多いはずで、
この会社をリードしてきたトップ陣からみれば
若手層に「甘さ」、「軽さ」を感じることが多々
あるのではないでしょうか。

日本でも立石電気(現在のオムロン)を創業した
立石一真氏はある時期から、猛然と
社内に起こった「大企業病」と闘いました。

オムロンに限らず、創業者たちの
苦難の道の上に築かれた企業も
大きななれば、社内に「大企業病」が
起こり、それが次の発展への大きなカベに
なります。

フォアファットにおいて、
そういう問題が起こっている
というのような話は全くありませんでしたが、
自分たちの思いと行動一つで
今の基盤を築いてきた経営陣が、
さらなる発展を願って、
次期マネジメント層の教育に力を入れる
のは必然の行動だと思いました。

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フォア・ファット鉄鋼グループの社長は、
今後の課題は何かとの質問に対し、
フォルモッサとの競争を挙げられた。

フォルモッサとは台湾のことで、多分、
台湾の中國鋼鐵51%、新日鉄住金30%、
(住友商事5%、日鉄住金物産5%、その他9%)の
薄板合弁会社(従業員 :約800名)が
昨年11月、営業運転を始めたことを
指しておられるのだと思いました。

このことについては、チャイナ・フォーカスが昨年10月、
次のように伝えています。
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台湾の鉄鋼大手、中国鋼鉄(チャイナスチール、CSC。本社:高雄市)と
日本企業(新日鉄住金)などとの合弁会社、
チャイナ・スチール・スミキン・ベトナム・ジョイント・ストック・カンパニー(CSVC)の
冷延工場の竣工式が14日、ベトナムのホーチミン市郊外で
バリア・ブンタウ省のチャン・ミン・サイン主席など
日台越の関係者を招いて行われた。

鄒若斉CSC会長は合弁企業の設立は
同社にとって東南アジア進出の第一歩であり、
台湾鉄鋼業界の競争力を示すものだとした。 

中国鋼鉄は日本の新日鉄住金、住友商社、日鉄住金物産、
台湾の春源、新光鋼鉄、台プラ河静などの協力支援を得て
11.48億米ドルを共同出資しベトナムにCSVCを設立、
このほど南部のミースワン工業団地に
年間生産能力120万キロの冷延工場が竣工した。
これにより同社生産ラインは全て完成、
自動車や家電の生産などベトナム国内の
ニーズに応え将来はASEAN市場の重要拠点となる。 

竣工式で鄒会長はCSVC発展で
ベトナム鉄鋼業の付加価値が高まり投資増加が進むことを望むとし、
新日鉄住金の友野宏社長も
CSVCが国を越えた文化と価値観の融合の中で
優れた多国籍企業に成長することを期待したいとした。 

CSVCの翁朝棟会長はRCEPとTPPの参加国が
重なる地域に位置するASEAN諸国の重要性を強調、
台湾も“外に出て行く”べきで中国大陸とのECFAだけでは不十分だとした。

また中国鋼鉄と世界第2の規模を誇る新日鉄住金との提携で
日本企業の東南アジア自動車産業に対する大規模投資の土台が築かれたとし、
大陸の李克強首相、日本の安倍首相、韓国の朴槿恵大統領も
就任後相次いでASEANを積極的に訪問していることを挙げ、
中国大陸に続く“世界の工場”になると東南アジアの将来性を指摘、
平均年齢が若く人口の多いベトナムでも今後大きな消費が見込まれると述べた。 

 

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この会社の事業は酸洗鋼板、冷延鋼板、
溶融亜鉛めっき鋼板、電磁鋼板の製造・販売で、
フォアファット鉄鋼グループの事業とは異なり、直接的な
競合関係にはないと思いますが、社長は、広い意味での
競争を意識されているのかもしれません。

私は社長の一言を受け、台湾資本、日本資本も
参入したベトナムにおける鉄鋼生産活動の勃興と
競争の一段の激化を感じました。

 

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邱永漢先生が昭和46年に刊行されれた著作に
『もうけ話』という本があります。

「この本を書くにあたって、最初に考えたことは、
金もうけのタネはどこにでもころがっているということである。
世の中が落ち着いて来ると、
新しく無名の新人がわりこむ余地はなくなると誰しもが考える。
また資本のない者が新しく仕事を始めても、
とても大資本にはかなわないというコンプレックスがある。
こうした考え方がいかに間違っているか、
を証明するには戦後の、私たちと同時代に生きている人たちが
どんな方法で自分たちの企業を築きあげていったかを
跡づけるのが一番よいだろう。」

といって、邱先生はホンダの本田宗一郎さん、
ブリジストンタイヤの石橋正二郎さん、
マザックの山崎照幸さん、森ビルの森案吉郎さん
などの方々の奮闘記を記述されています。

この本を読んで私の頭に残ったのは
成功した事業家たちは、最初からこれという仕事が
決まっていたわけでなく、試行錯誤を重ねる中で
中核になるビジネスを見出していったということです。

私は以前、ホアファット鉄鋼G(HPG)の社長から
これと同じ趣旨のことを伺い、印象に残っていたので、
「これからのベトナムには鉄が必要」と感じられた
時の様子を聞かせて欲しいとお願いしました。

この質問に対し、社長は次のようにおっしゃいました。
「自分たちは台湾やマレーシアなどの先進国から
良い製品を輸入して、国内で売るという貿易商社として
事業を始めました。そして、あるとき、スチール製の梯子
を扱っている国営企業に、その製品を
売ってくれるように頼んだところ、その会社から、
エラく威張られ、悔しい思いをしました。
それなら、いっそのこと、自分たちで、
鉄鋼製品を作ったらどうか」と考えたのです。」

こういう趣旨のエピソードを他にもいくつか話され、
これは生きた経営の教材になると思い、私は
「自分に漫画を書く才能があればそれらの体験を
描いた漫画を描きます。売れるでしょうね」
と話しました。
社長は笑っておられました。

 

 

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