2012年10月

ハイハイQさんが立ち上がった平成14年(2012年)の頃、

昭和35,6年(1960年、1965年)に邱永漢先生が

週刊誌に掲載された「会社拝見」を頼まれもしないのに、

中国株のPRや仲介をお仕事にされている

東洋証券の深堀敬三さんにお渡ししたにはわけがあります。

 

私が初めて中国を訪れたのは平成5年(1997年)、

邱先生率いる2回目の考察団で、小学館をやめたばかりの

関根進さんもご一緒でした。

 

大連を訪れ、国営の機械製作工場を見学したのですが、

邱先生が「この工場には5年分の受注があるとのこと。

成長期にはままあることで、日本の成長期、群馬県高崎市の

小島鉄工所を訪れた時、10年分の受注がある」

と言われました。

 

この解説で、日本がかつて体験した高度成長が

いま中国で始まっていると感じ、雷にもあったような

衝撃をうけました。

 

そして日本で高度成長が始まったばかりの

昭和35,6年(1960年、1965年)邱先生が

週刊誌「コウロン」(週刊公論)にお書きになった

生の文章を見たいと思い、帰国して、直ちに

国会図書館に行き、2年に亘る文章をコピーしました。

 

何しろ、この文章が発表されるや、

取り上げた会社の株が、都度、ストップ高になり、

自分の見方が正しいかどうか確かめるため、

先生ご自身、これらの会社の株を買い、

元手200万円が、5000万円になったという時の

文章です。

 

「この一連の文章には、邱先生が中国の成長会社を

見つける際の着眼が書かれている。“ハイQ”で

中国株の評論文を掲載される深堀さんにも

参考になるのでは」と思い、おせっかいをしたのです。

来年の2月10日、

中国株のことを深堀敬三氏(東洋証券)に

ベトナム株のことを平本裕志氏(ジャパン証券社長)に

お話しいただく株のセミナーのセミナー

を東京・新橋で開催くことにしました。

 

このイベントは、邱永漢先生が急逝され、

先生に信頼を寄せていた人たちが

直面することとなった問題の解決に

幾分なりとも役立つ方法がないかと考え、

東洋証券の深堀さんを訪ね、話す中で

生まれたものです。

 

深堀さんは上海邱友会(中国株勉強会)でいつも

邱先生の前に株のレクチャーをされてきたわけですが、

こうおっしゃいました。

「できるだけ多くの邱ファンに

お話ししたいことがあります」

 

それがどういうことであるかを聞く前に

私はすかさず、お願いしました

「私の勉強会に深堀さんをお招きするので

お話しいただけないですか」。

 

深堀さんは、その場で

「結構です。お話しさせていただきます。
深堀個人の立場でお話しします」

と言ってくださったのです。

 

こうして、2月のイベントの骨格ができたのですが、

深堀さんが昔の話をされました。

「戸田さんは、前に、分厚いコピーを束を

私に下さいましたね」。

 

私は理解できず「最近の古都ですか」と聞くと

「いえ随分前のことです」とのこと。

 

「そんなことありましたか?」と言って

深堀さんとの交流をたどるなか思い出しました。

 

10年前のことになりますが、

深堀さんも私も邱先生の「ハイハイQさん」

で連載することになったのですが、その頃、

東洋証券の本社を訪ね、

深堀さんにコピーの束を渡しました。

 

邱先生が昭和35,6年の頃、

『週刊公論』という週刊誌に連載された

「会社拝見」を国会図書館でコピーしたものです。

長きにわたって、邱永漢先生が、中国の成長株について

具体的に名前を挙げて紹介してくれました。

すっかりそれに慣れて、私達は自分で成長銘柄を探す

パワーが退化しているかもしれません。

 

しかし、平成4年に邱先生第3回目の全集の一冊として

再販された『私の株式投資必勝法』の「まえがき」

に書かれた次の言葉を読めば、前途開拓への意欲がわいてきます。

 

「ふつうの株の記事は時間がたつと

腐って使いものにならなくなる。

あまりアップ・ツー・デイトな書き方をすると

大暴落にあった時など雑誌に載る前に

すでに間違っていたりする。

そういう生き馬の目を抜く世界の話を書いて

30年たってもまだ何とか読むに耐え、

しかも全集の中に収められていると言ったことは

稀有の例といってよいだろう。

 

どうしてそういうことが可能かと言うと、

私が移り動く現象にこだわらず、

その中を貫く原理原則をとらえることに

力を入れてきたからである。

 

いつの時代にも必ず初めて株を買う人が現れるものであり、

似たような初歩的な過ちをおかす。

安く買って高く売れば株で儲かることは自明の理であるけれども、

どんな株のベテランでも、

成長株を買って増資の度に払い込みをし、

幾何級数的に持株をふやしてきた人に敵わない。

だから、何十年かたって人気株の銘柄がすっかり入れ替わり、

株価の位置が何百円台から何千円台に移っても、

銘柄と値段を入れ替えただけで、理論はそのまま通用する。

相場の動きに対する人々の反応の仕方も、

また欲の皮の突っ張らせすぎで失敗したりする愚かさも

ほとんど変わらない。」

(邱永漢ベストシリーズ版『私の株式投資必勝法』)

 

私達はこれまで、銘柄選びのコツも

買った後の運用についても具体的にな知恵を

授けていただいえいるので、

それをよりどころに、多少努力すれば

それこそ文殊の知恵で前途をだかいできるのでと思います。

 

さしあたり自分が講師を務める

11月11日の東京17日の大阪のセミナーに参加いただく方々と

意見交換させていただきたいと考えています。

毎日、タイムリーで新鮮な文章を送ってくださった

邱永漢先生からの新しい発信がなくなり

困っている人がたくさんおられます。

 

それほどまでに有益な文章を

送ってくれていたということですが、

多くの人に参考になったのは

何といっても中国の成長株銘柄を

具体的に挙げてくれたことでしょう。

 

名前を挙げるにとどまらす、

実際にその会社を訪れ、

また経営者とも会ってお話しされていましたので、

読者にとっては、これほどまでに

有益で文章はありません。

 

その邱先生が亡くなられ、

いま多くの人が悲嘆にくれているのですが、

どうすればいいのでしょうか。

 

私は「文殊の知恵」という言葉を思い出しました。

「文殊の知恵」とはご承知の通り、

「特別に頭の良い者でなくても

三人集まって相談すれば

何か良い知恵が浮かぶものだ」、

という意味の諺です。

 

邱先生の代わりを務められる人は誰もいないけれども、

先生から知恵を授けていただいた人が何人か

集まれば、前途を乗り切れるのではないか

と思うのです。

 

先日、東洋証券に深堀敬三さんを訪ね、

来年2月10日の株のセミナーについて

お願いするかたがた、そうした私の思いを話したところ、

深堀さんはニコヤカに笑みを浮かべ

来年2月10日の株の勉強会

“文殊の会”ということになりますね」

と応えてくれました。

 

深堀さんの機知に私も思わず笑ってしまいました。

邱先生に信頼を置かれたの皆さん、

“文殊の会”へのご来場をお待ちしています。

私の周辺には、いまなお、邱永漢先生がお亡くなりに、

悲しんでおられる方がたくさんいおられます。

 

悲しんでおられることは二つあると思います。

 

一つは、先生から株のお話が聞けなくなったことです。

先生のコラムへの人気は絶大なものでしたが、

なんといっても、「株のお話」への人気がそれを

支えていたと思います。

 

もう一つは、邱友会や中国投資考察団がなくなり、

“同好の士”が集う場がなくなったことです。

特に、考察団は8泊9日とか、9泊10日とか

長い時間をかけて、旅し、その間に

打ち解けた交流が起こります。そうした場が

無くなったことは、参加された方には深い悲しみです。

 

そうした悲しみを幾分和らげたらとの思いで、

私にできるイベントとして、思いついたのが

来年2月10日、私は東洋証券の深堀敬三さんと

ジャパン証券の平本裕志さんをお招きしての

中国株(深堀さん)・ベトナム株(平本さん)の

勉強会を開くことです。

 

お二人とも先生にゆかりのある方ですから。

この勉強会は邱先生に信頼を置いた人たちが

集う場になるのではないかとひそかに期待しています。

 

また“同好の士”相互の交流が

強く求められていると思いますので

セミナー後、新橋駅から一分の

北京料理の老舗、新橋亭での

夕食懇談会も開きます。

 

“同好の士”が集われることを

強く願っています。

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