2009年04月

渡部昇一さんは『『続・知的生活の方法』で
昨日引用した文章に続けて次のように書いています。

「ヒュームの自伝は長いものではないが
その中にくり返しでてくる単語は、
『独立Independency(インディペンデンシイ)』とか
『独立したIndependent(インディペンデント)』
である。
この『独立した』という言葉は、いまでも
英米人と話すときはよく出てくる。

われわれが『独立した』といえば、
植民地であったところが主権を回復するとか、
今まで親の仕送りで生活していたのが、
主権を回復するところが、今まで親の仕送りで
暮らしていた人が、自分で働くようになった
ばあいをさす。

植民地の独立というばあいはそれでよいのだが、
親の仕送りなしでやていくことを『独立した』
というのは、英語の『独立した』(インディペンデント)
とだいぶ内容がことなってくる。

会社や官庁に勤めて給料をもらって
生活するということは、『自立』かもしれないが
英語でいう『独立』ではない。

英語で独立したというのは、
いわゆる不労所得めいたものでも生活できる、
ということである。

たとえばイギリスやアメリカの
大学などで同僚の噂話をして、
『彼はインディペンデント』
といえば、親の遺産とか、なにかがあって、
大学からもうらう給料をあてにしなくても
良い身分だ、ということになる。(中略)

不労所得で生活をする、ということは、
現代の通年では、よくないことのようにおもわれる。
しかし、不労所得の人間がいなければ、
文化も思想も発達しなかたことも確かなのである。」

不動投資をするのがいいのかどうか、
迷っていた頃にこの文章を読んだことは
私にプラスの影響を与えました。

「不労所得で生活する」ということに
私なども、多少、ためらいを感じていたのですが、
この文章を読んで「知的生活」には
むしろ「不労所得が必要なのだ」と
考えるようになりました。

このところ、不動産投資を勧める文章を書き続けていますが、
自分が定期的にお金が入ってくるマンションに投資しようと
考えたころのことが浮かんできます。

私がこの不動産投資の要諦を学んだのは
邱永漢さんの『悪い世の中に生きる知恵』でした。
昭和54年発刊で、ちょうど30年前に出た本ですが、
ページを開くと
「定期収入を見込める不動産投資の4条件」
「都市型マンション投資のすすめ」
「月収20万円でマンションを選ぶコツ」
「インフレに強い『独立マンション貯蓄方式』」
といった見出しが並んでいます。

時代はインフレからデフレに変わり、
邱さんの「借金のすすめ」も
「お金を借ることには十分すぎるくらい
慎重であるように」と言う風に変わっていますが、
「都市型マンション投資」の真髄が書かれています。

その重要性、有益性は時代が変わっても
いささかも変わらないので、今不動産投資に関心を
もたれる方にはこの本を読むことを勧めています。

30年前、私はそこに書かれている文章を
何度も読み、マンション投資に興味を持ちましたが、
初めての行動ですから、私の中にも
「ほんとうにマンションなんて買って良いの」
と自重を促す心も働いていました。

そんな時、
「いや、やっぱり買っていいのだ、いや
買うべきだ」と励ましてくれたのが、
上智大学の先生をされていた渡部昇一さんの
『続・知的生活の方法』です。

この本のなかで、渡部さんは
イギリスの哲学者、歴史家である
デイヴィッド・ヒュームという人のことを
引き合いに出しています。
渡部さんはヒュームは
1711年にエンジンバラの良い家系ではあるが
豊かではない家に生まれたと紹介していますが、
彼が23歳の時、「人生計画」を立て、
それは簡単なものであたけれども
彼が添えた言葉を引用しています。

「きわめてきびしく生活をきりつめて
私の資産の不足を補い、
なんとか独立してやってゆける道を講じ、
そうして私の文才をのばすこと以外には、
いかなるものも取るに足りないものと看做そうと、
心にきめたのであった。爾来私はこの計画を、
着々と首尾よく実現してきたのである。」
(渡部昇一「続 知的生活の方法」P124)

この文章の続きは次回紹介します。

私が渋谷に持っているマンションは
昭和48年(1973年)に建てられ、
すでに36年の年月が経っています。

築36年のマンションなら
もう相当くたびれているのではないかと
思われる方もおられるかもしれません。

たしかに、建物の寿命は30年と言われ、
30年過ぎた建物にはボロボロになった
ものも多いですね。

しかし、自分が持っているマンションの
少なくとも私の寿命よりはずっと
長いと考えています。

どうしてそういうかといえば、
私は、たまたま、そのマンションの
管理組合の理事長になり、月1回
管理組合の会合に参加し、修理や管理の
ことについて打ち合わせをしています。

その理事会にはマンション内で
建築事務所を経営している一級建築士も
参加していて、私はいつもその人の
専門的な知識と知恵に信頼を置いています。

ある時、私はその建築士に、
「このマンションの寿命はどのくらいか」
と聞いたとき、その人は次のように
答えました。

「マンションの躯体はしっかりしているので
100年経っても問題はないでしょう。
一方、マンションの内部には水やガスなどの
パイプがはりめぐらされていて、これらは
年とともに腐食がはじまります。
ですから、ソトからは見えない配管などの
修理を怠らないことです。しっかり修理をし、
管理していけば、マンションは100年も
200年ももちますよ。
ヨーロッパのマンションなどみても
そういう例は多いですね。」

この話を聞いて、マンションの値打ちを
維持していくには管理や修理のことが大切で、
適切な手を講じていけば、マンションの寿命は
結構長いと感じました。

この昭和48年に建てられたマンションを
私は昭和54年に購入し、その次には
昭和55年に建てられ、昭和60年ごろに
購入しましたが、たぶん死ぬまで持ち続ける
ことになるのではないかと考えています。

年配の人は多くの場合、若い人より
お金を持っていますので、不動産を手に入れる場合、
1000万円くらいのお金であれば、
自分の財布から用立てができる人が
少なくないと思います。

しかし、かつての私がそうでしたが、
30歳代の人の場合、お金のストックが乏しいので
投資向きのマンションを買おうとしたら、
ローンを組み入れるほかありません。

先日の投資向き不動産の勉強会には
30歳ちょっとの青年が参加され、
この点についての質問を受けました。

私は自分がやてきたことを
そのまま伝えましたが、家に帰って
邱永漢さんが平成7年に刊行した
『お金持ちになれる人』を手に取って
読むうちに、次のような文章に出会いました。

マイホームの購入について
説明をされたあとの記述です。

「問題は投資対象としての
不動産にためにローンをつけたものかどうかです。
この場合も社会的信用を失わないために、
万一返済が不足した分を他の収入で補えるだけの
手立てが必要ですが、日本の不動産の動きが
今後どうなるかについては確たる自信の持てる人は
いないでしょう。

不動産投資はこれで終わりになるわけではありませんが、
どこでどういう動きに変わるか予測がつきませんので、
下値に届いたところでそこからあがる収入で
借金の元利返済が可能であれば、株をやっているよりも
安全確実な投資対象であるといえるでしょう。」

この文章は、バブル崩壊の傷が癒えない
時点で書かれていますので、経済の先行きに
ついて邱さんは注意深く言葉を選んでおられます。

ところでバブル崩壊のあと、東京の動きを
見ていると、日増しにその魅力が高まって
いると感じています。

また「不動産投資は
借金の元利返済が可能であれば、
株をやっているよりも安全確実な投資対象」
というのは私自身、常々感じているところです。

そういう意味で、今後に備え
体制固めをしておきたいと考えておられる
人にとっては、いまは、東京の不動産を
手に入れる好機だと考えています。

投資向きのマンションを買うにあたり、
考えることの一つは、銀行からローンを
借るかどうかということでしょう。

先日、一緒にマンションを見て回った
人たちの中には30歳代前半の青年もいて
その青年からこのことを聞かれました。

私が投資向けのマンションを買ったのは
昭和54年で、インフレ傾向が続いていました。
そんな中、私は銀行からのローンを
主力にしてマンションを買いました。

マンションを買い、それを賃貸に
出すことから得られる収入と、
銀行に返す元利合わせた金額を見、
赤字になるところは、会社からの給料で補う、
と言う考えで臨みました。

ただ、ローンが過大になることを恐れ、
銀行から借る時、自分が借り入れている
ローン全額を報告し、その上で貸してくれるのなら
貸してほしいと銀行に交渉しました。

邱永漢さんは、昭和30年代の後半から
お金を借りて、土地を買うことを勧めて
おられましたが、近著『お金持ちになれる人』
で次のように書いています。

「まだ住宅ローンも制度化されていない時点で
私は借金してマンションを買うことをすすめ
『借金のすすめ』という本も書きました。

またマンションが大へんな値上がりをした時、
ジャーナリズムが私のせいにしたこともありました。
でも私は借金の限度を家賃で返せる範囲に
とどめるというルールを守りましたので、
高値のあとはおいませんでした。
おかげで値下がりがはじまても
投売りをしないですみました。
借金をどの辺にとどめるかは、
収入との見合いで決めるべきことだと思います。」

この文章の中の
「借金の限度を家賃で返せる範囲に
とどめるというルールを守った」というところ、
そして、「借金をどの辺にとどめるかは、
収入との見合いで決めるべき」という
助言がたいへん重要だと思います。

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