2009年01月

「仕事の壁」というのは、
解決しなければいけないことは
みな、わかっているのだけど、
互いに知恵を絞っても、どうにも解決できない、
という状況にあるとき、自分たちが直面している
問題のことを言うことばです。

そういう「壁」にぶち当たった体験として
私の場合で言えば、すぐに思い出すのは、
自分が配属された事業部門が長く
赤字状態が続いていて、その部門の
立て直しが企画調整課長に任ぜられた
私が取り組むべき課題でした。

私は会社の再建とかいうことには
個人的に興味を持っていて、当時、
再建の名手と言われていた
早川 種三さんの「会社再建の記―
わが「助っ人」人生に悔いなし」 (1975年) とか、
大山梅雄さんの「会社再建の秘訣 経営実践録」(1976年).
とかいう本を買って読んでいました。

今だったら、立て直しの名手、
永守「永守イズムの挑戦」などの
本を読んでいたと思います。

しかし、私の本の読み方が浅かったのでしょう、
また直面する問題を解決しようとする真剣さや
解決能力が弱かったのでしょう、どう対処していいか
わかりませんでした。

ただ、私の直属上司であった部長が
ご自分の友人から、「われわれと同じ種類の
仕事を行いながら、ちゃんと黒字を出している」
ことを、聞き出し、その会社の仕事の仕方を
調べ、その会社の仕事の仕方に学ぶことで
立て直しを果たしました。

先日、アサヒビール社長であった
樋口廣太郎さんがライバル会社に
自社の欠点を教えてもらうことで
再建を果たしたことを紹介しましたが
ライバル会社に学んで、再建したと言う点で
再建の方法は共通しています。

樋口さんの業績を知ったのは
ずっとあとになってのことですが、
黒字化は不可能と思われていた部門の業績が
実際に黒字化したのですから、これは驚きです。

この体験から、自分の問題解決力が
脆弱で、もっと強化しなければならない
ということを思い知らされました。
自分が41歳であった頃のことです。

私はいまいろいろな人のお相手をして、
その人が悩んでいたり、困っていることに
多少なりともお役に立ちたいと思って
毎日を過ごしています。

そんな私に、自分の父親が創業した会社の経営を
引き継いでいる30歳代後半の二代目社長が、
心情をもらしました。
「考えてみたら、自分が会社の経営を継いでから
売り上げはずっと横ばいなんですよ。
銀行の人から、『そとから見ると、2倍、3倍の
売り上げがあるようなの会社のように見えますよ』
と言われました。
本当に売り上げの規模がずーと変わらないんですよねね。
なんとか売り上げを増やせないものか、
これが考えるべき一つの問題です。」

この話をきいて、私はこの社長にとては
「売り上げが増えない」ということが
大きな壁になっていることを感じました。

そして、人には、自分の目には見えないけれども
はっきりと意識できる「壁」というものがあることに
気づき、自分の前に立ち塞がって、容易に越えたり
破ったりできない「壁」という「言葉」に
敏感になりました。

そのように意識すると面白いもので、
目の前に立ちふさがる「壁」という言葉を
取り入れた本が目の前に飛び込んできます。
たとえば,昔、NHKのアナウンサーをされていた
鈴木健二さんは『壁にぶつかったとき読む本』ろいう
本を書いておられますじ、英文学者の渡部昇一さんは
『自分の壁を破る人 破れない人』という本を
出されています。

また、本のタイトルに「壁」という言葉はなくても
解決することは困難と思われたことを
見事に解決した体験を語っている本が数多く
出版されていることに気づきます。

また自分の体験を振りかっても、ある時期は
とても超えられないと思う障害物を越えることが
できたことがあることに気づきます。

そして、これまで、無数と言えるほど人間が
難題に取り組んできていますので、普通の人間が
直面している問題の多くは先人の知恵を借りたり、
ヒントを得たりすることができるのではないかと
考えるようになりました。

人生上の悩みにはいろいろな種類のものがあり、
壁にもいろいろな種類のものがありますが、
私としては「仕事の壁」を取り上げ、2月15日から
6月末まで「仕事の壁を破る突破力強化セミナー」を
開くことにしました。

人は過ぎ去ってしまったことについて
あれこれ言うところがあります。
しかし、過ぎ去ってしまったことを
あれこれ言うだけでは、新しいものは
何も生まれてきません。

私たちが力を注ぐべきことは、
昔のことをあれこれいうことでなく、
これから先の人生を、
納得のいくものにするために、
どう生きて行くかを考え、
明らかにして行くことだと思います。

未来は姿、形が見えず、頼りないものですが、
先人たちがいろいろアドバイスしてくださています。
たとえば、私がが50歳になった頃のことですが、
邱永漢さんが69歳になられたときに
発刊された『私は77歳で死にたい』
という本を読みました。

この本は、「生きている限りは
年をとっても仕事もし、楽しいこともして、
自分なりに張りのある人生を送りたい、
そういうことができず、単に生きているだけでは
意さして味がないので、そのときはさっさと死にたい」
というが趣旨の本で、「生きることへの知恵と情熱」
に満ち満ちた迫力満点の本で、私は
ボロボロになるまで読みました。

この本の中に
「終わりよければすべてよし」
という言葉があります。
これは大きな「なくさめ」になりました。
と同時にこれから先の人生にたいして
前向きに生きていくことの大切さを
教えていただきました。

今年は、邱さんの人生観と相通じる
糸川英夫さんの本や、斎藤孝さんが
訳されたアメリカ人の人生論などを
テキストにして、2月15日から6月末まで
ネットで「自分の前途を拓く自己革新セミナー」
を開きます。

この場を使って、自分の「夢」や「目標」や
「行動計画」を「明確な言葉」で表現して
行こうと考えられる方はどうぞご参加ください。

誰しも自分の将来は
明るく楽しいものであってほしいと
願っていると思います。

そのような願いを達成するための
作業の一つが
「自分のこの世における使命、役割
(「ミッション)は何だろうか」
という問いかけだと思います。

前に紹介した糸川英夫さんの
『人生に消しゴムはいらない』
という本の最初の章は
「『使命』は人間性を高める」で、
「『使命』は『自分の意志』で発見する」
ものであると書かれています。

また、昨年後半、友人たちと勉強してきた
斎藤孝さんの児童向けの著作、
『カッコよく生きてみないか!』
で「使命感を感じられる人はカッコイイ」
と書かれています。

この「使命(感)」、「役割」を表す
「ミッション」とあわせて、私たちが
持ちたいのが「自分の理想像」(「ヴィジョン」)です。

「自分の人生はこうありたい」
「こういう形で自分の人生を全うしたい」
というのが、「自分の理想像」(「ヴィジョン」)です。

若い人であれば、
「会社の部長、できれば社長になりたい」とか
「大金持ちにならいたい」というのも
一つの「理想像」だと思います。

また「年をとってから、お金に困らないようにしたい」とか
「元気である限り仕事を続けていきたい」とか
「人生の後半は生きがいを大切にしていきたい」とか
いうのも一つの「理想像」だと思います。

たぶん、「自分のヴィジョンはこれだ」といったことを

決めている人は少ないと思います。
「自分のヴィジョンづくり」をお楽しみください。

自分の人生方向を考えると
進むべき道は一つでなく、
いくつかあることに気づきます。

たとえば、会社勤めの人であれば
いずれ、定年を迎え、会社とサヨナラ
しなければなりませんが、定年のあとは、
仕事など一切やめてのんびりした生活を送るという
道をもあれば、定年後もなんからの形で
仕事を続けようという道もあります。

仕事を続けようという道にも
いろいろな道があり、たとえば
会社勤めをしていた時につかんだことを
活かせる仕事を探すという道もあれば、
前からいっぺんやりたかったこと、
たとえば、パン屋さんやケーキ屋さんを
やてみようという生き方もあります。

それらの道のうち、その道を選ぶのか
前回は自分のより所、別の言葉で言えば判断の根拠
あるいはは判断基準をハッキリさせておく必要があると
申し上げました。

と同時に、そもそも自分は
「何のために生きているのか」、
「自分が生きている目的はなのか」
「自分がこの世で果たすべきことは何なのか」
一言で言えば「自分の使命、あるいは役割」
を決めておくことも重要です。

会社経営の本など見ると、
経営理念に相当するものとして
「ミッション」という言葉に出会います。
この「ミッション」が「使命」とか「役割」を
表す言葉です。

私たちは仮に会社勤めの身であても、
自分の「人生」を演じる「主役」であり、
そのすべてに責任を負う「社長」です。

ですから、自分の「人生の使命や
役割はこうありたい」ということを
決めておくこととても重要で、
それを明らかにすることで、
自分がとる進路の選択も容易になると思います。

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