「仕事の壁」というのは、
解決しなければいけないことは
みな、わかっているのだけど、
互いに知恵を絞っても、どうにも解決できない、
という状況にあるとき、自分たちが直面している
問題のことを言うことばです。
そういう「壁」にぶち当たった体験として
私の場合で言えば、すぐに思い出すのは、
自分が配属された事業部門が長く
赤字状態が続いていて、その部門の
立て直しが企画調整課長に任ぜられた
私が取り組むべき課題でした。
私は会社の再建とかいうことには
個人的に興味を持っていて、当時、
再建の名手と言われていた
早川 種三さんの「会社再建の記―
わが「助っ人」人生に悔いなし」 (1975年) とか、
大山梅雄さんの「会社再建の秘訣 経営実践録」(1976年).
とかいう本を買って読んでいました。
今だったら、立て直しの名手、
永守「永守イズムの挑戦」などの
本を読んでいたと思います。
しかし、私の本の読み方が浅かったのでしょう、
また直面する問題を解決しようとする真剣さや
解決能力が弱かったのでしょう、どう対処していいか
わかりませんでした。
ただ、私の直属上司であった部長が
ご自分の友人から、「われわれと同じ種類の
仕事を行いながら、ちゃんと黒字を出している」
ことを、聞き出し、その会社の仕事の仕方を
調べ、その会社の仕事の仕方に学ぶことで
立て直しを果たしました。
先日、アサヒビール社長であった
樋口廣太郎さんがライバル会社に
自社の欠点を教えてもらうことで
再建を果たしたことを紹介しましたが
ライバル会社に学んで、再建したと言う点で
再建の方法は共通しています。
樋口さんの業績を知ったのは
ずっとあとになってのことですが、
黒字化は不可能と思われていた部門の業績が
実際に黒字化したのですから、これは驚きです。
この体験から、自分の問題解決力が
脆弱で、もっと強化しなければならない
ということを思い知らされました。
自分が41歳であった頃のことです。