前回、「上達の普遍的な論理」という齋藤孝さんの
考えを紹介しましたが、「普遍的」とは
どういう意味なのだろうかとふと疑問に思いました。
一般に「普遍的」とは「すべてのものに共通する」とか
「すべてのものにあてはまる」とかの意味ですが
この言葉と「上達」が私の頭ではうまく
結びつかなかったのです。
そこで齋藤さんの『「できる人」はどこがちがうのか』
を何度か読む続けていると、次の文章に出会いました。
「『上達の秘訣とは、特定のジャンルにおける
上達ということではない。
むしろある領域での上達の体験が核となって、
他のジャンルの事柄にチャレンジした時にも、
その上達の体験を活かすことができるような力。
それが上達の秘訣につながる。
たとえば、部活での上達の体験や
受験勉強での向上の体験が、
仕事に就いた後にまったく活かされなければ、
その人は上達の秘訣を身につけているとは言い難い。
対照的に、部活などあまり上達をしなかったとしても、
そこでの成功や失敗の体験を普遍的なものとして
自分のなかで認識し、他のジャンルの活動をする場合に
上達の論理として活かすことができるならば、
その人は、上達の秘訣を身についていると言う
ことができる」(『「できる人」はどこがちがうのか』)
この文章に出会って、なるほどと思いました。
一つの分野で身につけた方法が、他の分野でも
活用され、広くすべての分野で通用するものだという
意味で「普遍的」という言葉が使われているのだ
ということに気づいたのです。
以来「上達」と「普遍的」の二つの言葉が
私の頭のなかで違和感無く、ごく自然に
結び合わされるようになりました。