2008年01月

桑田勇三さんが
『成長増資株の選び方』の中で
成長増資株の投資時期につき、
(1)「絶対に長期投資でゆくこと」
(2)「増資後の権利落ちを狙うこと」
に続いて提言したことは
(3)「投資をしたらまず増資新株を2回もらうこと」
です。

この提言について、桑田さんは
次のように書いています。

「株式投資は経済行為であって、
これを経済原則からみれば短期的に小資本で、
より大きな利潤を生ませることであるが、
株式投資の収穫期は、その会社によって
それぞれ異なるので、それまで待機することである。

株式投資でショート・タイムを楽しむことは、
先の100より今の1をとることである。

特に今後の株式投資は蜂蜜のように、
取り入れ期に蜜を蓄えて、
たとえ最初の投資の時期を誤って
高値で投資しても、石の上にも3年という諺のとおり、
株の上にも3年の構えで、その会社が2回増資するまで
持続して株数を増していけば、
投資平均値は非常に安くなるのである。

                   増資率   株数   投資平均値

最初の投資         1000株   150円
第1回の増資  1:1   2000株   100円
第2回の増資  1:1   4000株    75円

すなわち最初の投資額150円は75円に低評価され、
その間受けた利回り6分以上相当の配当金を受けたとすると、
かなりの利益が自然にもたらされる。」

桑田勇三さんが
『成長増資株の選び方』の中で
成長増資株の投資時期にふれ、
(1)「絶対に長期投資でゆくこと」
という提言に続いて主張されたことは
(2)「増資後の権利落ちを狙うこと」
です。

この主張について、桑田さんは
次のように解説しています。

「成長の過程にある優良会社は、
一年一回か2年1回の増資を行ってみて
事業資金を株主から仰ぐものであるから、
いわば成長のための増資は、結果からみれば
定期的に行われると考えてよいであろう。

よく世間で株式を推奨するのに、どうも株価が
7,8合目くらいに上昇した時に行われる場合が多い。
これでは上位が少ない。

それよりは、増資の権利が落ちて
呼値の低い値段の時に、
無条件で買うべきである。

一般に権利落ちから、
次の増資を狙うまでには、
相当の期間があって、
権利落ち後の底値もみは、
3,4ヵ月後はあると見てよい。

(中略)一般には、増資の新株が落ちてから、
3,4ヵ月くらいは、底値圏内の時期であるから、
権利落ち直後から、引き続きこの期間に
買い入れることが必要である。

(中略)株式の魅力は、配当金のほか、
その事業が発展し、増資が重ねられていって
株数が増加するという点にあるから、
権利落の株が、また次の増資を目安として、
もとの高値にもどっていくことを、長い目で
長い目で楽しむというものでなかればならない。

もっとも、一時は、人気の行き過ぎがあるけれども、
その動きもあるけれど、その動きを長期的に
楽しむという態度が必要である。」

こういう文章を読むと、桑田さんは
株式市場の研究という学術的なご勉強だけでなく、
実際に株の投資を楽しまれていたのでないかと
想像されます。投資家の立場に立っての
表現になっているので、そのように
感じるのかもしれません。

桑田勇三さんは昭和34年に発刊した
『成長増資株の選び方』の中で
成長増資株の投資時期にも触れ。
次のように提言しています。

(1)「絶対に長期投資でゆくこと」
(2)「増資後の権利落ちを狙うこと」
(3)「投資をしたらまず増資新株を2回もらうこと」
(4)「品薄優良株を狙うこと」

このうち、(1)「絶対に長期投資でゆくこと」
について桑田さんは次のように解説しています。

「一般に株価が安いときに敢然投資するということは、
心理的にもなかなかできないことである。
この安い時に、投資ができれば、
万人が億万長者になることも夢ではない。

また朝から晩まで株価の動向に浮身をやつす人は、
えてして高買いの安売りを反復し、
売買をヒンパンにやって気が散るから、
とかく本業をおろそかにしがちである。

しかも最近は、信用取引による投機的売買で
実際に利益をあげたということは少ないようである。

そこで、結局、短期間の株価にとらわれることは
小さい利食いに終わることであるから、
長期的投資により、結果において、
大きく利益をねらうことが望ましい。

(中略)要は長期的投資ということであって、
投資する時期を多少誤っても、
増資に応ずることによって
投資額の平均値を低くすることである。」

このような桑田さんの提言は、
いま昭和30年代の日本と同じように、
工業化による経済成長を突っ走っている
中国やベトナムの会社への投資に
そんまま活用できる、あるいは
活用すべき考えではないでしょうか。

昭和35年ごろの時点で、邱永漢さんに
「成長株への投資が投資家に大きな利益をもたらす」
という発想を提供したのは桑田勇三さんです。

その桑田さん昭和34年に著した『成長増資株の選び方』で
「成長株」と「成長会社」(「今後好況に向かう業種」)
への投資を薦めています。

まず「成長株」の業種として、
次のような業種を挙げています。

(イ)食品、電鉄、電力、ガス、窯業、電機、精密機械
(ロ)商業、化学工業、輸送用機器、石油石炭製品、不動産
(ハ)プラスティック工業、ガス化学、石油化学、電子工業

続いて「今後好況に向かう業種」として
鉄鋼、自動車、非鉄金属会社、商社、
電気の一部、製紙、パルプを挙げています。

また「今後活躍する業種」として
(イ)輸入増大で収益のあがる商社
(ロ)発送電、変電関係の拡大による電力会社
(ハ)私鉄運賃の値上げによる収益向上の電鉄会社
(ニ)設備投資に踏み切れば、電気、鉄鋼会社
(ホ)設備投資の遅れを取り返そうとしてしている
   石油化学、重化学工業
の各業種を挙げています。

まだ、日本人が自分たちの経済活動の成果に
自信が持てなかった時代に、
日本経済の向かいつつある方向に目を向け、
投資すれば報いられる可能性が高い業種を
具体的に挙げた桑田さんの展望は、
当時の投資家たちに力強い指針となった
のではないかと思われます。

また私はたまたま昨年の末に、
ベトナム経済の発展方向に興味を持ち、
業種ごとの動きを調べましたが、
ここに紹介した桑田さんの分析は
これから経済が発展するベトナムの
今後の展望にとても参考になると感じました。

桑田勇三さんは昭和34年の時点で
成長増資株の基準の1つに挙げた
C 成長株であること」と
D 好況に向かう業種であること」を
つまり「成長産業であること」とまとめて
次のように解説しています。

『増資会社の選択に際しては、
斜陽産業(還流)でなく、
成長産業(暖流)の中から、
これまで健全な増資を順調に行ってきたもの、
また、これからもそうした歩みをすると
予想されるものを選ぶべきである』

このように解説した後、
桑田さんは“成長株の選び方”に触れ
次の4点を挙げています。

(イ)優秀な経営者と技術力があること。

(ロ)資本金が過小であること。

(ハ)収益力が高くて、増資をやっても、
収益力に心配のないもの。

(ニ)系列下にあること(たとえば旧財閥関係の会社は
いろいろな点で業界のトップを行くものが多く、従って
その系列下にある事業は、陰に陽にそのグループの
相互扶助が行われるので、その点では、
単独会社の場合より有利である。
また大企業や金融機関と密接な関係にあることは
事業の運営に資金面からの援助があるので、有利な場合が多い。)

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