私が20年前、斜陽化の冷たい風吹きすさぶ
北九州市八幡東区の街で、都会風の
お年寄り向けのケアつきのマンション事業を着想したのは
1つは邱永漢さんから、現代日本に流れている
潮流の一つが「老齢化」であると教えられたことです。
もう1つは、高島陽さんが出版された
『社長のめしの種』の第一章
「まずヒントをさしあげます」を読んだことです。

15の事例の一つとして
「シルバー・ヴィラ哲学堂[細く長く生きる商品]」
と題した一枚のページがあり、
ホテルの室内を写したよう写真が掲載され、
その下に次の文章が掲載されていました。
「高令化社会になると
第二の人生を好き勝手に生きたいという人が増えてくる。
国営・民営を問わず、規則づくめや
禁止事項の多いところに住む人は
やむを得ずということになろう。

シルバー・ヴィラ哲学堂は一言で言えば
老人専用のホテルである。
48室の部屋はすべて個室で、床暖房になっている。
ホテルだからもちろん外出も自由だし、
食事の時間も決まっていない。
短期滞在だと食事・管理費含めて
一週間7万7千円だが、だんだん長期滞在者が増えて
長期は7割ぐらいになっている。

広々としたロビーで楽しい語らいをしたり、
18人のヘルパーにいろいろ世話になったりして、
独り暮らしの不安感から解放されるだろう。
ここには専務理事の岩城裕子さんのノウハウが
いっぱいつまっている。
高令者には、細く長く生きる商品、
これがポイントである」(『社長のめしの種』)

私はこの文章を読み、
こういう高級なサービスは東京だけでなく、
福岡県でも求められるのではないかと思いました。
高島さん予想されたように、
シルバー・ヴィラ哲学堂は生き続け、
私が軌道に乗せた北九州市八幡東区の施設も
20年近く経営を続けています。