邱永漢さんの著作に
社長さんたちの処世術をまとめた
『社長学入門』という本があります。

邱さんが多くの社長さんたちを観察し、
「社長さんの交際術はかくあるのがいい」
と書かれた本ですが、この中で、
妻や子供との付き合いが大切ですと、
ページを割いています。

「妻の役割は
世渡りの途次で引き立ててくれた恩人にも
劣らぬほど、大きなものである。
ただ、妻は家族の一員であり、
うちわの人だから、つきあうもつきあわないもないよ
と言われるかもしれない。

しかし、『合わせものは離れもの』といえば
『親子は他人の始まり』ともいって、
妻や子供をどうつきあうかは、ゆるがせにできない
ことの一つである。」

といって、世の忙しい社長さんが
奥さんや子供さんとのつきあいを
ゆるがせにしていることを警告し
その重要性を説いています。

「現に私だって、月の半分は地方の講演旅行に
出かけているし、東京にいるときだって、
家で食事をしないほうが多い。

ところが経済評論家の高島陽氏は、
足で歩いて自分の理論を実地に組み立てる
ことをモットーにしているから
私よりももっとひどい不在地主で、
一年のうちに家にいる日数は1ヶ月もあるかどうか。
一年間に150とか60とかの年を訪れたというから、
いつ電話をしても家にいたためしがない。

『そんなに家を留守にしておいて、
家族から文句がでないのですか』
と私がきいたら、高島さんはニッコリ笑って
『コツがあるんですよ』
と言う。」(『社長学入門』。昭和49年)

というように、邱さんが
家族との交際の秘訣を教えてもらいたい
と迫っていった先が高島陽さんです。
この続きは次回にご紹介します。