前回、中国で『開発区』が続々
誕生する流れを見ましたが、
邱さんの本を再読すると
改革開放の動きが中国で広がる
様子について次のように書かれています。

「鄧小平は『11年前に経済特区をつくるとき
上海をその中に入れることは間違いだったなあ』
身辺にもらした。

12年前には、台湾と香港の企業家たちの
力を借りるのがやっとだったし、
はたして成功するできるかどうかも
定かでなかったのだから、成功が
確実視されるいまからでも遅くはない。

はたして上海では
浦東がプログラムに乗るようになり
大連、天津、青島など沿岸地区に
経済特区と実質的に余り代わらない
開発区が設置されるようになった。

それを見ると、内陸部も手を拱いてはおられない。
ただでさえ所得格差に悩んでいる内陸の官僚たちは
『沿海海域ばかり優遇してオレたちを見捨てるつもりか』
と北京にねじ込んだ。

全国平等を建前にしている北京よしては
グウの音も出ないことだから
急遽、揚子江沿岸の成都や重慶や武漢も
同じ扱いを受けることになり、
経済発展はタテとヨコの二つの線で
推進されるようになった。
というより全国スローガンに
なったのである。」
(『日本人はアジアの蚊帳の外』)

中国で一連の「改革開放政策」が
とられていく様子が活写されていて
中国で起こっていることを掴むうえで
とても参考になります。