邱永漢さんは14年前に書かれた
『私は77歳で死にたい』で
定年後、つまり60歳からの生き方について
趣味に生きるものいいし、
かねてからやりたいと
思っている仕事を始めるのも良く、
とにかく「やりたいようにやり、
やりたい仕事をやればよい」
とお書きになっています。

そして「これから老人もふえることだし、
老人のベンチャー・ビジネスもふえることだろう。
そういう老人のベンチャー・ビジネスに反対ではない。」
ともおっしゃり、その理由について
次のように書いておられます。

「たとえば長い間会社勤めだけやって、
自分の採算で仕事をやったことのない人が、
定年になって新しい仕事に手を出したのでは
失敗の可能性が大きい、と考える人がある。
しかし、年寄りは若者よりは経験を積んでいるから、
若者よりは何事にかけても、慎重である。
そういう人が事業に手を出す時は
少なくとも若者よりはソロバンがしっかりしている。
営業のプランを立てる時だって、
売上げは少なめに、経費は多めに、
当面、利益があがらなくとも
やっていけるような資金計画を立てているはずである。
だから私の知っている範囲内でも
六十の手習いから始めた手づくりのパン屋や植木屋で
見事に成功している例がたくさんある。」
(『私は77歳で死にたい』)

どんなベンチャー・ビジネスが考えられるのか
私の周辺には、研修の講師になった人くらいしか
見当たらないのですが、たとえば私について言えば
ご覧の通り、自分の人生の充実に関心を
持っておられる人たちに呼びかけ、
人生設計とか、株の投資や不動産投資など
理財設計についての勉強会を開いています。

また同好の人たちと一緒に
発展著しい中国の各地で
セミナーを開いたりしています。
こういうことをやってきて、
自分のやっているのは仕事というより、
道楽のようなものに近いと感じています。

ただ人生上の問題は個々人の
心の奥底にふれることですから、
交流が始まれば、その後も
交流が続くことが多く、ときに
感謝されることもあります。

そうなるとより楽しくなり、
いろいろ工夫するようになりますから
手をとめることはできません。
これからも続けていきたいと考えています。