「自分の人生をより充実したものとしたい」
というのは誰にも共通の願いだと思います。
その願いの中には精神的な充実感と
経済的な豊かさの二つがあると思います。
「生きがい」と「お金」と言い換えても
いいと思います。

どちらも重要なものだと思いますが、
自分が30代の頃のことを思うと、
自分の将来のことを考えるにあたって、
一番関心を持ったのは「お金」のことで、
年をとってから「お金」のことで
困るようなことは避けたいと思いました。

そうした私の関心に応えてくれたのが
邱永漢さんの文章で、私は邱さんの著作の
熱心な読者の一人になりましたが、
そんな私の心を深くひいたのが
『人生後半のための経済設計』という本です。
この本は邱永漢さんの2回目の全集である
「Qブックス25巻」(日本経済出版社から刊行)
の一冊として昭和58年に発行されました。

たまたま私は昭和18年生まれで、
自分がちょうど40歳のときに
この本が世に出版されたわけです。
そしてこの本を開くと
「40歳からの生き方、考え方」
という章があり、この本の中核になっています。
「この本は自分にぴったりの本だぞ」
と自分に言い聞かせて買いました。

いまこの「40歳からの生き方、考え方」
というページをくると「30代の転職・自立作戦」
といったことが書かれています。
邱さんの持論になっている「40歳定年説」が
の考えが最初に書かれた文章ですが、
私の興味を惹いたのはこの章ではなく
「40歳からの老後の準備」という章です。

これは、年をとってからお金のことで困るような
ことは避けたい思う自分の関心に応えてくれる
ものだと思って、くいいるようにして読みました。
将来の不安に備えておきたいという気持ちは
昔も今も変りはないようですね。

(追記)先日来から、渡部昇一さんが昭和年に出版した
『「人間らしさ」の構造』を紹介してきましたが、
この本が『生きがい』という題名で2004年に
ワック出版から版を新たにして出版(900円)されています。
このことを本日、知りましたので、追記します。