いま中国やインドで工業化が急速に拡大し、
石油や石炭などの資源が高騰しています。
また鉄鋼、アルミ、銅、プラスチックなどの
素材も不足し、これらの価格も高騰しています。

一方、世界全体の工業の水準は高く
供給が需要を上回っているため、
これらの資源や原材料を使って
製品をつくっても、製品の値段に
資源や原材料の価格上昇を反映させることができず
「原料高の製品安」の現象が起こっています。

であるあるならば、資源や原材料を供給する会社が
当分の間、天下を取り続けるのでしょうか。
私は、そういう時期はそれほど長くはなく
いずれ新しい流れが起こってくるのではないかと
考えています。

というのは、資源や原材料が高くなると、
そのことによって手痛い打撃を受ける人たちが
なんとか資源や原材料の使用量を少なくしたいと
知恵を絞り、新しい生産方式や新しい製品を
開発するようになると見ているからです。

成長を続けていた日本が2度にわたって、
石油の急激な高騰に直面したことがあります。
昭和48年の第一次オイルショック、
そして昭和53年からの第二次オイルショックです。

この当時、日本では、必要な石油が確保できず、
経済の成長力が失速するのではないかと
みな心配しました。
実際、石油高騰の影響を受け、経済成長の伸びが
一時頓挫するということがありましたが、
石油の使用量を減らすための省エネ活動を展開し
このことによって日本の企業の経営体質は
より強靭なものになり、世界中でよい多くのお金を稼ぎ出す
競争力を持つことになりました。

こうした体験を下地にして考えると、
資源や原材料を供給する会社が
わが世の春を謳歌する時期は
そう長くは続かないように思えます。

はたしてそうなるかどうかという関心を持って、
これからの経済の動きを見ていきたいと思っています。