2年ぶりに私を訪ねてくださった青年は、
いま、ベトナムに行って、何かの仕事につけないか
と考えていると言います。

そこで、青年にベトナムで活躍している日本人のことが
インターネットで紹介されているので、
(1)その人たちがいまベトナムでどういう活動をされているか、
(2)また、どういうことがキッカケでベトナムに行ったのかを
調べてみてはどうかと言いました。

それから1ヶ月ほどして青年とまた会い、
私から話を切り出しました。

戸田:「インターネットで調べて見ましたか」

青年:「ハイ、調べました。調べた結果、
ベトナムで活躍されている方の多くは、
ベトナムに行く前に、日本で“技”を磨いておられ
ベトナムに行ってから、その技を発揮されているように感じました。

そうした人たちと比べたら、自分には
“得意技”と言えるものがないことを痛感しました。

技を磨くには日本が一番だと思います。
ですから、今の自分には“これが自分の得意技だ”
といえる磨くことに専念する必要があると感じています。」

戸田:「それは大事なことに気づかれましたね。
邱永漢先生も日本人が外国で活躍するには
“手に職”を持っていることが大事だとおっしゃっていますね。
ボクも中国に渡った青年たちを多く見ていますが、
自分の“得意技”を持っている人は
比較的、スムーズに仕事についている」

こうして青年と私は、ふたたび進路選択の
出発点に戻りましたが、私の頭にかつて
南極越冬隊長を勤められた西堀栄三郎さんが
物事を決める際に採っておられた方法が
浮かんできました。