前回、わが家の長男が生まれた昭和44年、
直木賞作家の石原慎太郎(現東京都知事)さんが
『スパルタ教育』という本を光文社のカッパブックスから
発刊し、子供の教育について有益な助言を
いただいたと書きました。

たまたま、石原さんのインターネットに
その『スパルタ教育』での記述の一部が
紹介されているので、ここに抜粋させていただきます。

「我が家の個性、性格を決めるものは
父親である、おやじである。
おやじでなくてはならぬと、わたくしは信ずる。
なんといっても父親は家族の支柱であり、
その家の主宰者である。
かれはその結婚前すでに、男としての個性をもち、
それをやがて自分が持つ家に反映し、家をつくり、
家族をつくりあげるためにふさわしいと信じて、
一人の女を選び、妻にするのである。

女が男に積極的に求婚するならべつだが、
世の習慣が、求婚を男の義務と黙認しているかぎり、
女上位などというものはたわごとでしかない。
家の性格、そこに生まれてくる子孫の性格は
父親が与えなくてはならない。

その父親は現代の慣習、
あるいは法律さえも越えた、自分の個性を
十全に表現しきる彼自身の人生の法則を
持っていなくてはならぬ。
それは、その家の家訓となり、家風となり、
家族の心の掟ともなる。

そして、そのおやじの哲学こそが、
みずからがその代に主宰する家と家族を、
先祖たちにまして、みずからの手で培い、繁栄させ、
自分の先代までの祖先ができなかった
大きな人間の仕事を、自分でもなし終え、
子供たちにしとげさせていくよすがになりうるのだ。

平凡が美徳のように錯覚されている、
この画一化された時代に、画一化された男が、
どこにでもあるような人生観を持ち、
どこにでもあるような家庭をつくったところで、
それがなにになろうか。」(石原慎太郎「スパルタ教育」)

この本にはこのように「父親よ、かく強くあれ」
という論調のメッセージが随所に、込められ、
子供をどう育てていけばいいかについて指針を
いただきました。

ちなみに、石原さんが芥川賞を受賞された年、
直木賞を受賞されたのが邱永漢さんですが、
当時は邱さんの存在には全く気づいていませんでした。