ロンドンの金融街区でイングランド銀行
や旧王立取引所を見、ロンドンの地図で
自分が立っているところを良く確認し、
を改めてロイズ社に向かいました。

私がロイズ社を訪れることに
固執したのにはわけがあります。
ロイズ社は世界一の保険会社ですが、
この会社の起源は17世紀ごろ生まれた
ロイズ・コーヒー・ハウスという
コーヒー・ハウスでその歴史が面白いからです。

「17世紀にロンドンで初めて保険業が誕生したとき、
世間の人は口々に『何という非常識、不道徳な商売だ』
と非難した。
ロンドンに最初に生まれたのは船舶保険で、
もし輸送船が沈んだら、その損をかぶってあげよう
というものであった。
植民地経営と海運業によって、
世界一の繁栄を享受していた大英帝国ならではの
発明であった。

海運業は、糸、コーヒー、小麦などのの
食品と紡績の原料である綿花をイギリスに運びこみ、
工業製品を運び出すのだが、初期には海難事故が多く、
10隻にい1隻は帰ってこない。

そこで保険は産業発展と資本の導入に貢献したわけだが、
保険関係者は他人の不幸を賭けの種にし、
しかも少しずつ利益を得ていたともいえる。

早く言えば、これは当時の道徳観からすると
許されざるインチキ商売であった。
また、保険に入る人もケシカランということになった。

《中略》加えて、保険を発明した連中に対しても
世間は快く思っていない。

というのも、彼らは正業に就かず、昼間から
コーヒーハウスに入りびたっている。(ちなみに、
この喫茶店の一つがロイズという店で、現在の保険会社の
由来となった)。」

以上は日下公人さんの『食卓からの経済学』の
一節です。ここに書かれたニュービスネス誕生物語が
面白いので、ロイズ社に向かったわけです。