日下公人さんが著作『個性を以って貴しとす』

で書いているロビンソン・クルーソーの孤島での
生活を支えている「中流」の生活態度について
述べる文章を引用させていただきます。

「中流の生活態度とは、要約すると

次のようにならないだろうか。


第一は『合理的で決して僥倖(ぎょうこう・思いがけない幸せ)

を当てにしない』ことである。賭けが好きなのは、

下流と上流の特徴である。


第二は『計画的に物事を進める』という特徴が挙げられる。

上流であれば、有能な部下が持ってきたスケジュールどおりに

生活すれば毎日が過ぎていくし、下流であれば

上の命令を守っていれば給料がもらえる。

ところが中流は自分で仕事をつくり出し、

自分の能力と相談して人生を歩んでいかなければならない。

自己管理能力の有無は、中流の重要な要件である。

 

第三は『経済的な生活を好む』ということだ。

クルーソーは孤島に漂着するや直ちに生活の

基盤づくりに着手するのであって、決して

救出船の到来を待って神に祈るとか、
過去の生活を悔いて、失意の日々を

送るなどには貴重な時間を費やさない。

 

第四には、『実践的な行動力に富む』ことが挙げられる。

上流は抽象的な観念の操作に卓越しているが、
知識や技術を駆使して行動的に動くことには

得意でないし、やりたがらない。

一方、下流は強制されればよく働くが、

本人の意思で勤勉であることは稀だ。

自発的に行動し、知識や技術の開発と摂取に

努力した人が十六世紀、十七世紀の下流階級から

抜け出して十九世紀の中産階級となり、

やがて二十世紀には上流と目されるようになった。」

 

さて、この文章に照らしてあなたの生活態度は
中流ですか、はたまた上流ですか、下流ですか?

 

日下さんは上の文章のあとに
次のように続けています。

 

「以上のように、クルーソー時代の中流階級は

『自分の意思で仕事をつくり出し、勤勉である』ことを

誇りとしてきたが、『自分は中流』だと答える

現代のサラリーマンの多くは、『自ら仕事をつくり出す』

という大切な側面を忘れて『勤勉で多忙である』

という側面にのみ着目してそう答えている」

 

たいへん大事なことを指摘されています。

心当たりのある人はこの言葉を
よき刺激剤にするといいですね。