ホノルル美術館で

私たちを案内してくださった

日本語ガイドの老婦人でした。

 

ホノルル美術館は実に広いです。

1時から始まった館内のツアーは

2時になり、3時になり4時までになりました。

 

都度、参加していた日本人参加者は

ほかに行きたいところがあるのでしょう、

一人減り、二人減り、最後まで

残ったのは私たちだけになります。

 

私たちをガイドくださった

老婦人の説明は丁寧で詳しく

時々、展示品の下に表示されている

文字を確かめながら、見事なものでした。

 

インドの美術品を見た後で

ようやくガイドが終わり、

私たちは老婦人と一緒に

椅子に座り、私は婦人に質問しました。

 

「今日のご説明、ありがとうございました。

ガイド中、一度もお休みをとらずすごいですね。

礼状を書かせていただきます。

お名前を教えてくださいますか」

 

「私は沖縄からハワイに来た日本人の2世です。

名前は SUMIKO HENNAです。
HENNAは日本語で『平安名』と書き、
京都を意味する『平安』という漢字が名前ですが、

音が『変な』と同じですから、学校で

名前が呼ばれるときはとてもイヤでした。」

 

「そうでしたか。作品説明がすばらしかったです。

この方面のお仕事をされてこられたのですか。」

 

「いいえ、私は6年前まで

病院で看護婦の仕事をしてきました。

いま、一生懸命作品の勉強をしているところです。」

 

「3時間、ぶっつづけで、ご説明いただきました。
失礼ですが、おいくつですか。」

 

「この博物館と同じで83歳です。」

 

「それは平安名(へんな)さん、

お茶をご一緒いただけませんか」

 

「残念ながら、館内の喫茶店はもう終わりです。」

 

「そうですか。残念です。
それでは後ほど、写真を送ります。
いつまでもお元気で」
と言ってお別れしました。

 

年をとっても、人と交流することで

生きていることの喜びを感じるという

印象を与えてくださる素敵な方でした。