私達のようにベトナム戦争
(1960年代初頭~1975年4月30日)
の戦況を新聞やラジオを通して聞いてきた世代には
サイゴンという名前が懐かしいです。
そのサイゴンが
ホーチミンとベトナム民主共和国初代主席
であった人物、ホー・チ・ミンの名前に変えられ、
なんとなくなじめないものを感じる人が多いのですが、
「サイゴン」という呼称は
旧サイゴン=ホーチミン市のなかに
今も生きています。
例えば、市内の中心部を流れる川は
「サイゴン川」です。
カンボジアから流れ、南シナ海に注ぐ川です。
たくさんの水草と一緒に
ゆっくり水が流れ、この川のほとりに、
ベトナムの中央銀行やホーチミン取引所が
並んでいます。
また、このサイゴン川のほとりに
つくられた港が「サイゴン港」で
何台も大型船が入港できる海の玄関です。
面白いことに、いま市の名前に使われている
ホーチミン氏も、かつてここから
フランス船の料理室勤務としてフランスへ出港しました。
そのことを伝えるホーチミン博物館が、
サイゴン港の近くににあります。
さらに、いろいろなお店の名前に「サイゴン」が使われ、
例えば、繁華街のドンコイ通りにある
カラベルホテルの10階にあるバーは
「サイゴン サイゴン」で、
周囲の景色が良く見え、たいそう
風通しのよいバーです。
このように首都としての名前は
ホーチミンになりましたが、
サイゴンという表現はいまも健在です。