ベトナムがWTOに加盟したのは2007年ですが、

この年から2013年の今に至るまで、

私は友人達と一緒にベトナムの首都、ハノイ市と

最大の商業都市、ホーチミン市(旧サイゴン市)を7回訪れ、

ベトナムの上場会社への視察を続けています。

個人の立場から、ベトナムの経済発展の尻馬に

乗る方策を求めての探索旅行です。

 

きっかけは、作家、経済評論家、実業家

故邱永漢氏(昭和20年商業学科卒業。平成24年逝去)

の『旅が好き、食べることはもっと好き』(1991年)と

『人財論』(1992年)を読んだことです。

 

これらの書で著者は

ベトナム国民が労働資源として優れていると述べ、

特に後者の書で、ベトナムは改革・開放政策を始めた

中国の後を継ぐ可能性があるとの見解を披瀝しました。

 

「もう一つのかくれた労働資源は

ベトナムであると私は見ている。

ベトナムは戦争の傷跡もまだ残っているし、

共産主義の勝利によって外国人に対して硬く門を閉ざしてきたので、

経済の発展とはあまり縁がないと多くの人々は考えている。

 

しかし、ミャンマーが

米の生産国から輸入国に転落したのに対して、

ベトナムは長い混乱のあとで再び米の輸出国として

すぐお隣のタイと競争する立場にのしあがってきた。

 

また外国の導入に異常な熱意を示すようになり、

中国との外交関係を修復する一方で、

台湾からの投資を誘致するために

要人たちが盛んに台湾に足を運んでいる」。

 

そして、著者はベトナムを訪れたときの体験を踏まえ、

次のように書きました。

「やはりここは、中国と同じように

共産主義の似合わない国民性の国であり、

かってのフランスの植民地であったことが

共産主義の先例を受けたことよりも根強く残っていると直感した。

そういえば、行商人が出来立てのフランス・パンを

籠にのせて売っている姿はアジアの他の地域では

とてもお目にかかれない珍しい光景である」。