FPTソフトウェアが狙うのは、
中国が大部分を占める日系企業のオフショア開発案件の取り込みだ。
日系企業がベトナムへの切り替えに動く要素の一つはコスト低減。
FPTソフトウェアのダナン拠点で
ソフトウェア第17事業本部の責任者を務めるレ・ビン・タイン氏は、

「急激な円安下においても、当社は提供価格は変更せず、
維持できている」と自信を見せる。

同社は、為替影響による価格転嫁をしない方針を採っているという。
課題は実績面だろう。中国に比べて未知数な部分が多いため、
日系企業にとっては不安要素となりうる。
過去に中国でのオフショア開発が本格化した際、
技術力や品質管理、商習慣の違いなどに悩まされた企業は多い。

ベトナムにおいても、初期段階では様々なトラブルが発生することは、
ある程度覚悟した方がよいだろう。それを乗り越え、
両者が満足のいく結果にたどり着けるかが、
今後のベトナムでのオフショア開発の定着を左右する。

特にFPTソフトウェアが果たす役割は重要だ。
最大手である同社とのプロジェクトは、日系企業にとっても試金石となるからである。
もしプロジェクトが上手くいかなかった日系企業は、
中国への回帰や他国へのオフショアを再検討する可能性がある。

ネクスト・チャイナとして脚光を浴びるベトナム。注目度の高い今こそ、
ポスト中国としての立場を確立できるかの正念場に立っている。