私の気を惹いたシンガポールの住宅政策とは
どういうものでしょうか。
この点について、
株式会社 三井住友トラスト基礎研究所
海外市場調査部 副主任研究員 北見 卓也様が作成された
シンガポールの住宅政策についての論文が
要点をつたえてくれているように思います。
いか、3回にわけて引用させていただきます。

「2010年にシンガポールの1人あたりGDPは
日本を抜き、アジアの中で最大となった。

シンガポールが、マレーシアから独立してわずか45年間で、
急速な経済成長を果たせたのは優れた都市戦略と
政府の強力なリーダーシップに拠るところが大きい。
つまり、東京23区程の面積しかない、
限られた国土を最大限活用するために、

政府主導で都市開発を推進することで、
国際都市としての魅力を高め、
海外からの投資資金や優秀な人材を積極的に呼び込んできた。

このことが、シンガポール経済を
急速に発展させる原動力となってきたと考えられる。


こうした政府主導の都市開発を推進する上で、
重要な役割を果たしてきたのが「コンセプトプラン」である。
コンセプトプランは、政府が長期的視点で
総合的に都市開発計画を示した概念的な計画であり、
より具体的な実行計画となる「マスタープラン」の上位計画にあたる。
当初のコンセプトプランは国連の支援を受けて、1971年に策定された。

この時点では
環状に広がる地下鉄(MRT)や高速道路等の交通網整備といった、

都市の基本的なインフラ整備に重点が置かれていたが、
とりわけ建国当初の住宅不足は深刻であり、
住宅基盤の整備が最大の政策課題の1つとして位置づけられていた。
こうしたコンセプトプランのもと、住宅開発庁(HDB)が主体となって、
意欲的に公共住宅(HDB住宅)が分譲され、
近年ではシンガポール国民の約8割はHDB住宅を購入・居住し、
その持家比率は約9割に達している。こうした背景から、
民間企業が開発した住宅(民間住宅)は全体ストックの約2割にすぎない。」
((出典:株式会社 三井住友トラスト基礎研究所
 海外市場調査部 副主任研究員 北見 卓也作成 ※リンク先不明のため削除