前回に引き続き、株式会社 三井住友トラスト基礎研究所
海外市場調査部 副主任研究員 北見 卓也様が作成された
シンガポールの住宅政策についての論文を引用させていただきます。

「1980年代後半になると、

高速道路や地下鉄などの整備に一通りの目途がつき、
次第に生産性向上やライフスタイルの質向上へと関心が向かった。
そして1991年、20年ぶりに改定された
コンセプトプラン(改定コンセプトプラン)には、

それまでの経済発展を支えてきた労働集約型産業から、
資本集約型産業やハイテク産業を
中核とする産業構造への転換が示された。

この改定コンセプトプランに基づき、研究開発、金融、IT等の分野で
海外から優秀な人材を積極的に確保する政策が推進されると、
外国人居住者の増加につながった。

ところが、外国人居住者は原則としてHDB住宅を購入できない。
また、外国人居住者はHDB住宅を賃借することはできるが、
その多くは低所得者層向けの物件となっている。
そこで、外国人居住者向けの高品質な民間賃貸住宅の需要が高まり、
香港返還やアジア通貨危機に至る1997年頃まで、
民間住宅の賃料高騰が続いた(図表)。

【図表1 民間住宅価格指数と外国人居住者数の推移】※リンク先不明のため削除

さらに外国人居住者や
シンガポール国民の市民権・永住権を獲得した世帯が、
賃料高騰の影響を避けるために民間住宅を購入するという需要も拡大し、
1991年頃から民間住宅価格の上昇幅が拡大した。
2005年以降は外国人居住者が加速度的に増加し、
民間住宅価格指数も3年間で約56%上昇した。
2010年以降もアジア経済の拡大に伴って、
中国、マレーシア、インドネシアからの投資資金も
シンガポールの民間住宅市場へ流入するようになり、
これが住宅価格を一段と高騰させる要因となった。
こうした住宅価格の高騰が、
国民の生活に悪影響を及ぼしかねないと危惧した政府は
2010年2月以降、度重なる住宅投資抑制策を打ち出してきた。
一連の住宅投資抑制策が奏功し、
2012年以降の住宅価格は調整局面を迎えつつある。」
 (出典:株式会社 三井住友トラスト基礎研究所
 海外市場調査部 副主任研究員 北見 卓也作成※リンク先不明のため削除