平成8年に発行された『株の原則』
のプロローグを再読しました。

邱先生は初期のころのご自身の
講演のことにふれながら
次のように書かれています。

「いま思い出しても、
当時、講演会で話した内容も、
いまこの本でお話ししようとすることも、
株の理論や経済学とはほど遠いものです。

同じ私という人間が、
体験をとおして覚えたというのは、
そう簡単に変わるものではありません。

つまり、投資の環境は変わったし、
それに対してどんな銘柄を買おうかといった
株の“選手交代”はあったとしても、
それに対してどんな態度で臨まなければいけないか、
といったことに対しては百年たっても
変わらない原則を導き出すことができるはずです。

日々変わる現象としての『株』を書こうとすると、
この株は1000円になるはずだ、
いやあとで3000円になるだろうといったことを
書くことになります。
しかし、そんな話はたいていの場合、
1ヶ月もしないうちに内容そのものが
通用しなくなってしまいます。

まして印刷物にして発行しようとしたら、
それが世に出るころには、
まったくとんちんかんな
内容になってしまうことすら珍しくありません。
世の経済雑誌のたぐいには、
この手のものが少なくないのです。
ですから、とくに動きの激しい『株』の本などは、
私にいわせれば、
『原則』を話してしまうのがいちばんいい、
仮に銘柄や株価を上げたとしても、
『原則』さえきちんと押さえていれば、
その例を置き換えれば十分通用するのです。」
(『株の原則』)