「天気だって毎日変わります。
今日は波が高いなあ、船を出すのはやめようか、
と怖がっていたら、漁師はつとまりません。
もちろん、大嵐の中でも出て行けと私は言いませんが、
魚をとる人は波の高い低いを気にするよりも、
潮の流れを見ることが大切です。
潮の流れに変わりがなければ、
魚のいるところに変わりがないからです。

それと同じように、
株式投資を自分のホビーと心得ている人は、
景気不景気を気にすることはありません。
まして株式の大暴落に驚かされることはありません。
大暴落は3日もすれば
台風と同じようにすぎ去ってしまうものだからです。

そんなことよりも、お金の流れは
どっちの方向に向っているのか、
またお金の流れによってうるおっているのは
どんな業種の、どんな企業なのかに気をつけることです。

(中略)

景気がよくなるから株が上がるのではなくて、
株が上がるから景気がよくなるのです。
株で儲かる人がふえれば、
人々が気前よくなってお金を使うのです。

そうした場合、人々が何に喜んでお金を使うかによって
産業界の明暗が分かれます。
多くの人がお金を使いたがるところに位置している
企業ほどお金が儲かり、株価が上がります。

たとえば、若い人が道を歩いていても、
車に乗っていても電話をかけるようになれば、
携帯電話も売れるし、電話会社も儲かります。
お小遣いの大半を電話料にとられてしまったら、
服を買うお金なんかなくなってしまいますよねえ。


波の高い低いを気にするな、潮の流れを見よというのは
こういう変化を見定めよということです。
株価は私たちの日常生活とお金の使われ方を
反映するものですから難しいことではありませんが、
観察力が要求されます。」
(出典:もしもしQさん:第55回波の高低より潮の流れを見よ。
 光文社刊「もしもしQさんQさんよ」に収録)