株は安いときが買いのチャンスだ
ということを実地で勉強しました。
痛い目にあってからのことですから
そのありがた味が身にしみました。

なら同じような失敗をしないように
なったかというと、そうではありません。
私が中国の株を買ったのは、
平成8年のことですが、
株は会社の成長の影のようなもので
成長が著しい中国の会社の株を買えば
チャンスが得られると思いました。

ところが案に相違して、
買った中国の会社の株は
どんどん下がっていきました。
前に日本の会社の株を買い
買ったあとに下がったのは
買った値段の3分の1でした。
ところが買った中国の会社の株は
10分の1近くにまで
下がってしまいました。

中国の経済は大きく伸びているというのに
これはどういうことかといぶかり、
中国の経済について調べたところ、
景気が加熱することを避けるために
金融引き締め政策がとられ、
そのことを意味する“宏観調控”
という言葉に出会いました。

そして、経済が大きく成長している中国でも、
「金融引き締め」を意味する
“宏観調控”の政策ががとられたら、
不景気風が吹き、そのことが影響して、
株価が下がるのだということがわかりました。

問題はこういう局面のとき、どう対処するかです。
じっと我慢を決め込んで、夜が明けるのを
待つほかないのでしょうか。
あるいは暗闇の中に電灯を照らして
前に進んでいくような手がないでしょうか。

平成3年頃のことです。
邱さんが昭和61年に出版した
『株の目事業の目』という本を手に取ると
「新聞や雑誌が『株のブームの到来』とか
書き出すようになると
人は争って株を買いだすが、
こんなときに株を買うのは良くない。
こういうときはしばしば、株価が
ピークに近づいていて、その先には
株の下落が待ち受けている」
といった趣旨のことが書かれていました。

一方、どんなときが株を買うのに
適しているかについても言及があり、
「株がすっかり値を下げ、
株のことなど誰も口にせず、
証券会社の受付カウンターの
ところにも人が寄り付かないようなときが
買いのチャンス」と書かかれていました。

こういう指摘を受けると、自分の頭のなかで
自問自答が始まります。
「自分は自分なりの判断で株を買ったので、
別に世間のムードに酔って
株を買ったわけではない。
でも、結果的には株がピークに
さしかかった頃に買ったようだ。

ところで『株は、誰も株のことを口に
したがらないようなときに買うのがいい』
といった考えは全く初めてでとても新鮮。
ぜひ役に立ててみたい」と。

そして、この本を読んだ翌年の平成4年のこと、
株が大きく値を下げた場面で、勇気を鼓して
株を買うと、株はスルスルと値をあげ
株は値を下げたときがチャンスだ
ということを深く、頭に刻むことになりました。

多くの人は、株が買ったあとに
買値を上回り、そのサヤをとることを
狙って株を買います。
ところがしばしば経験するのは
買った株が株価を下がり
そのまま下がり続けることです。

買った株が下がってしまうのは
たいへんなショックです。
今は株は下げているけど、
もうしばらくしたら、
上がってくるだろうと
自分をなだめるようになります。

しかしそんな期待をあざ笑うように
株価はさらに下がり、
「うーん、これは重症だなあ。
ここまで下がると、もう二度と
買値まで這い上がることは
考えにくいなあ」と
あきらめざるをえないような
心境になります。

いったいどうして株など
買ってしまったのかと悔やみ、
自分は株には向いていないのかな
と考えたりしました。

でも、あきらめるまえに、
なぜうまく行かないのかを
明らかにすることが必要です。

前に、私は昭和62年頃、NECの株を買い
3分の1に値を下げたと書きましたが、
その頃、邱永漢さんが書いた
『株の目 事業の目』という本を見つけ、
参考になるかもしれないと思って買いました。

この本には、株を買う人の
心理状態が書かれていて、
人は新聞や雑誌が「いま株に人気集中」
とか書かれた記事を読むと、
そわそわして、株を買わないと
損したような気持ちになり、
先を争って株を買う。

しかし、そうした時期は
株価がピークに近いているときで、
その先は株価が下がり始めるのだ、
といった趣旨のことが書かれていて、
自分が置かれている状況を
整理するのに役立ちました。

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